金木戸川双六谷&黒部川赤木沢

■日時 8月10日(土)〜14日(水)

■場所 :金木戸川双六谷、黒部川赤木沢

■メンバー  YONEさん、some2(記)

8/09(金)
都内集合22:00頃→新穂高温泉03:00頃

お盆休み初日の新穂高温泉に来たのは初めてだったが、物凄い込み具合だった。第11くらいまで駐車場があるらしいが、ほとんどいっぱいだったのではないかと思う。夏休みの北アルプスの玄関口はこんな風になるのかと驚いた。無料駐車場の空きスペースに何とか車を止め、車中泊した。

8/10(土)
新穂高温泉→金木戸林道第一ゲート出発7:45頃→金木戸林道第二ゲート→堰堤広河原13:00頃→軌道→打込谷出合手前(壊れた吊り橋)16:00頃→幕営

この日はアプローチだけだったので入渓はしなかった。重荷を背負って猛暑の中行動したためスピードが出なかったのもあるが、アルプスの沢はアプローチが長く入渓するまでが特に大変だと感じた。今回は諸々を考慮して小倉谷出合~打込谷出合間は遡行せず、軌道を利用して巻いたが、この区間は水量が多く遡行し甲斐がありそうだったので(もしかしたら一番の核心かもしれない)、いづれ入渓してみたい。

8/11(日)
打込谷手前6:30頃→打込谷出合→センズ谷出合→金チヂミ→蓮華谷出合16:00頃→幕営

打込谷出合付近からセンズ谷出合あたりまでが特に水量が多く水流も強かった。私の過去数回の沢登りでは経験のなかった水の威力にかなり面食らった。はじめのうちはロープなしで通過できるところ、ロープが必要なところ、渡渉不可能なところの判断がつかず苦労した。そのため我ながら結構危なっかしかった気もするが、YONEさんに色々アドバイスいただき、また何度も渡渉を繰り返すうちに徐々に感覚がつかめてきて、序盤の水量豊富なパートを突破することができた。

センズ谷を過ぎると水量はやや減ってきたが、それでもゴルジュや淵の通過では泳ぎを強いられることがあった。一か所とっかかりがなく沢から上がるのが困難そうな淵があり、はじめは高巻を試みたが下降ポイントが見つからず断念し、結局水線突破することになった。反対側まで泳いで取り付いてみるとやはりホールド・スタンスが乏しかったが、カチホールドとスメアリングで体を引き上げ、何とか岸にあがることができた。今回初めてラバーソールの沢靴を使用したが、乾いた岩ではクライミングシューズ並みにフリクションが効き、ラバーで来て大正解だった。

ルート全体の核心と言われている金チヂミについては、事前にネットで調べた記録では、「気づかないうちに通り過ぎていた」とか「水量が少なくて簡単だった」などと書かれていてあまり苦労したという話は見かけなかったが、実際取り付いてみるとそんなことはなかった。左側の滝はどう考えても登れそうにないので右側に泳いで取り付いてみたところ、一番傾斜の緩いラインにはとっかかりが全くないため沢から上がれず断念。少し離れたチョックストーンの真下あたりからは岸に上がれたが、チョックストーンに遮られフリーで登るのは難しそう。そこでYONEさんのアドバイスにより初のハンマー投擲を試みたところ、何度目かでうまくチョックストーンに引っ掛かり、ハンマーから伸ばしたスリングを伝ってエイドで抜けることができた。結果的にあまり時間はかからず突破できたが、決して簡単ということはなく普通に核心でした。

そのあとはあまり苦労する箇所はなく、蓮華谷出合の幕営適地まで進み、この日は行動終了した。

8/12(月)
蓮華谷出合6:00頃→抜戸沢出合→双六小屋15:30頃→黒部五郎小屋→幕営

水量豊富だった双六谷も、蓮華谷出合以降は水量が目に見えて減っていった。登攀困難な個所もほとんどなかったので、滝を直登してみたり、あえて沢の中心の水深のある場所を歩いたりと、トレーニングや遊びを交えながら遡行した。

抜戸沢を過ぎるとさらに水量が減り、関東近郊にある小さな沢のような穏やかな渓相になったが、関東の沢と違い稜線に抜けるまでがとにかく長かった。似たような景色の中を歩きづづけることに飽きてきたころに双六小屋にたどり着いた(すごいテントの数だった)。この日はここで終わりではなく、翌日の赤木沢遡行に備えさらに黒部五郎小屋まで縦走した。危険個所はなかったが、体力的には一番大変だったような気もする。

 

8/13(火)
黒部五郎小屋7:30頃→五郎沢→黒部川出合→赤木沢出合11:00頃→中俣乗越手前15:30→黒部五郎小屋→幕営

双六谷遡行の疲れが溜まっていたが、朝起きると快晴だったのでこれは行くしかないねということで遡行に必要なギアだけ持って少し遅めに出発した。

五郎沢から黒部川出合まで急峻なところはなく、ゴーロ帯の下りだった。岩は乾いていたので、ラバー靴の私は階段を下りるように快適に下ることができた。フェルト靴のYONEさんは大変そうだった。黒部川から赤木沢出合までは傾斜がさらに緩やかになり快適な沢歩きだった。途中穏やかで深い釡を見つけて、飛び込んで遊んだりした。

赤木沢に着くと、聞いていた通りとて綺麗な沢だった。特に入り口の景色は絶景で、見ているとなんだか現実離れした気分になった。ガイド本やネットの記録で景色について絶賛されているのも頷けた。

沢自体はあまり長くないので、遡行自体は双六谷と比べると短時間で終了した。念のため序盤はロープを出したところもあったが、巻き道は皆明瞭で難しいところは特になかったと思う。途中たびたびイワナを見かけたのでいつかは釣りで訪れたい。藪漕ぎはほとんどなく中俣乗越手前にの稜線に突き上げて遡行終了。黒部五郎岳を超えて黒部五郎小屋まで戻った。

8/14(水)
黒部五郎小屋4:30頃→双六谷→鏡平→新穂高温泉

当初の計画では、この日は抜度岳まで移動し穴毛谷を下降する予定だったが、翌日以降天気が崩れる予報だったので、この日の内に確実に下山できるよう一般登山道から降りることにした。双六谷から鏡平あたりまでの縦走路は景色がとても綺麗で、いつかゆっくり歩いてみたいと思った。

新穂高ロープウェイ駅まで降りると、レストランにおいしそうなメニューがたくさんあってついドカ食いしてしまい、これまでの沢登りで消費してきたカロリーをリセットしてしまった。

最終日は普通の山歩きになってしまったが、下山後に夜の中央道を車で走っていると土砂降りになったので、やはり急いで降りて正解だったみたいだ。

所感

これまで山登りをしていて、壁やナイフリッジなどで怖さを感じることは何度かあったが、それらはみな「高さ」に対するものだったと思う。今回の遡行で「水」に対して、これまで経験してきたものとは全く異なる種類の恐怖や畏怖を感じた。一方で水量の多いところの渡渉や、水線を泳いで突破できたときはとても充実感があり、泳ぎ沢が好きな人たちがいることもわかる気がした。これから「泳ぎ系」の沢も頑張ってみようと思った。


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