2019 GW 黒部横断

■メンバー : Yone

■期間:4/27~5/2

■場所:五龍~仙人谷ダム~池の平山~剣~早月

4月27日 雪
9:00 アルプス平 – 13:00 BC(西遠見山手前)

4/27にエスカルプラザから出発。ゴールデンウィーク前に天気予報をやきもきしながら見ていた。結局アルプス平につくと雪。前回スキーに来た時にはっきり見えた5菱は分厚いガスに囲まれて全く視界に入ってこない。最近の登山を振り返ってみると初日は雪であることがほとんどだ。しかも今日は午後から荒れる。せめて西遠見に幕は張りたいと、アルプス平でコーヒーを飲みたいという気持ちに後ろ髪をひかれながら出発。この日は3パーティが五龍に向かう。

週中に降った雪が根雪になっているこの季節としては雪が深く足がもぐる。潜った足をうんざりしながら引き上げる。たまに膝くらいまでのラッセルにもなりこの先が思いやられる。アルプス平から降り続いていた雪はお昼過ぎには順調に吹雪へ。遠見尾根に順調に積もる。

五龍を越えてからどれくらい積もっているのやら。先が思いやられる。西遠見までは足を延ばしたかったがそれも難しい。顔に当たる風が痛い。テントを張るのも一苦労になる。大遠見を過ぎたあたりの平地でテントを張る。

結局夜中まで雪は降り続ける。防雪壁がいい加減だったせいか夜中に2回テントの雪下ろしをする羽目に。。。

4月28日 快晴
4:30 BC – 5:30 西遠見山 – 7:00 五龍山荘 – 9:30 五竜岳 – 13:00 東谷山 – 14:00 2260尾根下降地点 – 16:00 2001m尾根下降地点 – 18:30 BC(1824小ピーク付近)
二時を過ぎたころには雪はやみ空には星が瞬く。昨日は見えなかった大町の明かりも見える。天気予報は正しいようだ。今日はばっちりの快晴だ。2時には張り切って起きて準備をする。朝4時半から五龍に向けて歩き出す。西遠見山に上がるところは吹き溜まりになっており、太ももまでのラッセルだ。朝一で体がまだ温まっていないのと荷物が重すぎてなかなか歩を進めることができない。潜っては足を抜き、潜っては足を抜き。ようやく西遠見山についた。ここからは五龍が正面に拝める。白山の登りで後続が追い付く。若者がトップになっていてあっという間に追い抜かれる。この後さらに3パーティに連続で追い抜かれて、、、もうだめぽ。しかしラッセルの心配はない。人が10人も通るとあっという間に高速道路が出来上がる。

G0を越えたコルからが思ったより悪い。中途半端に氷化しているせいかアイゼンをけりこんでも爪がぐらぐらしている。これは帰りは相当悪そうだ、、、そうか帰りの心配をする必要はないのだ。。。G2を越えるところではこれまたトラバースがわるくて順番待ちである。天気も良かったのでのんびり写真を撮ることができた。

頂上直下の雪壁はあいかわらず急である。標高を上げるにつれて重力によりザックがさらに肩に食い込む。こんな荷物もって先に進めるのかよ、と一人毒づきながらなんとか頂上に到着。

さて決断をする時。雪が降っていた割にはどうにもならないラッセルというわけではない。今日明日と天気が持てば剣直下まで足を伸ばせるだろう。家族と山岳会にそのまま剣に向かうことを連絡して東谷山へと進んでいく。

五龍頂上からは急なリッジを下る。右側には雪庇が発達しており、ほらこちらのほうが歩きやすいよ!と誘惑してくるがアイゼンをがちがち鳴らしながら岩とハイ松がまじりあったリッジをひいコラ言いながら下る。ふと違和感を感じて上を見上げたところ、太陽の周りに輪っかが!さらに水平な虹が鮮やかに現われていた。

戻ってから調べたところこれはハロ現象と環水平アーク現象と呼ばれる珍しい気象現象らしい。その時には幸先が悪くないなとすこし足取りが軽くなった。

しかし東谷山の手前のコルに至る下り道に入ったとたんに踏み抜き地獄が始まる。雪が出てきたので歩きやすくなったと、のんびり進んでいたらずぼ!二歩進んでまたずぼ!どうにもならん。次第に気温も上がってきて荷物もますます肩に食い込む中、ひいこらと東谷山へと向かう。ここで1時を過ぎている。うーむ、今日中にS字峡まで降りたかったのだが、このペースでは厳しい。先を急ぐ。

東谷山からはまず2260m尾根下降地点を目指す。この辺りは全体的になだらかでどこでも幕営ができそうだ。

天気もいいし、ここで昼寝ができたら最高なのにと思いつつ、ここで一日過ごしたら2日後からの悪天候につかまるので、そのまま足を進めていく。左側に谷をみつつぐるっと尾根に沿って歩いていくと2260mの尾根に降りる地点に到着する。尾根はここから狭くなる。尾根沿いに沿って行くと樹木が複雑に絡み合い落とし穴を作っている。ずぼっ、、、体ごと樹木の根が尾根上の岩稜と複雑な地形を作り出来上がった芸術の落とし穴・・・全身が潜る。根っこにそっとアイゼンを置き、樹につかまりながら体を起こす。それではと右側の沢から行こうとすると60度ほどのザラメの雪壁。アイゼンは決まることなく体が落ちる!!!!

落とし穴に落ち、ザラメ雪にずるずると落とされながらようやく2001mに達する。地図上ではここから南西方向に延びる尾根に乘るはずであるが、その尾根が見つからない。よくよく見てみると西側に延びる尾根をそのまま下り右側に一か所狭い場所であるがクライムダウンできる個所がある。ここを降りたら反時計方向にぐるっと回り込みミニカールを横切る。そして再度尾根に上り返すようだ。

さらによくよく見てみたところ2001m付近から南西に出ている尾根が見つかった。しかし尾根に降りるところがあまりに急すぎること、草付きの傾斜が60度ほどのルンゼを下ること、さらにそもそも2001mから南西に延びる尾根はそれほどアプローチが良くないことが分かった。

1800mの西に延びる尾根はいままでの落とし穴と尾根はなんだったろうというくらいのんびりした風景になる。ここですでに午後五時半を過ぎているのでそろそろ幕営する場所を探さなければならない。本日は1824mの小ピークで幕営。ここは樹林帯で風もなく、平たいので整地も楽であった。

4月29 晴れ
5:30 BC – 8:00 1647m尾根下降地点 – 10:00 1109m – 11:00 鉄塔 – 12:00 黒部川(ガンドウ尾根偵察等含む)- 13:30 仙人ダム –
18:30 BC(1629小ピーク付近)
さて本日のお題は東谷山の後半戦であり、①1771付近で南に急激に曲がるところ、②1647mから南西に向かう尾根に入るところ、③1109m付近から仙人ダムに降りるところである。

まず当初1771.8を目指していたが先行者のトレースはここを目指していない。もう一つ南側のピークを通っている。確かにこちらのピークを経由したほうが1771.8~1647間に横たわる平坦部に直接入れる。早朝は踏み抜きもほとんどなく昨日経験したすかすか地獄とは打って変わっている。これもお昼過ぎにはどうなるかよくわからないので足をどんどん進める。

1647mの尾根は少々わかりづらい。地図上ではなだらかな尾根がそのまま続いているように見える。しかし入り口は45度ほどあり急激に狭い口へと降りるようになっている。ここまで雪が深くアイゼンをしていなかったためにそろそろっと尾根を降りていく。ずるっ!いきなり50cmほど体が滑り落ちる。雪が薄く樹の根っこや竹がダウンヒルのスケートリンクをつけている。足さばきは悪くなるが滑るよりはましなのでアイゼンをつける。尾根上は歩きやすいものの、眼鏡にささったり、荷物に引っかかったりとの藪がうるさい。懸垂下降があるかもしれないとハーネスをつけるか朝迷ったかが、つけなくて正解であった。途中見慣れない足跡がある。。。もしやこれは熊!!!

しかも足跡がそれほど大きくないから子熊かもしれない、、、ということは当然親熊もいますよね。人間にとって歩きやすということは当然獣にとっても歩きやすい。いやそもそもこの尾根がけもの道だから歩きやすいのかも。じわっと嫌な汗をかく。

尾根を素直にたどると1109m付近には特に迷うことなく到着する。そのまま尾根に従っていくと関電の電線と仙人ダムが見えてくる。

ここからだ。選択肢は2つ。記録によれば仙人ダムを直に目指す行き方と尾根をたどる行き方があるようだ。確かに赤テープがところどころに結ばれている。これは尾根から外れて直接仙人ダムを目指しているようだ。しかしどーにもアプローチが悪い。赤テープを偵察するといきなりずぼずぼ、体が太ももまで雪にうずもれる。ストックとピッケルで体を起こそうと雪につくとそこもさらさらと崩れていく。赤テープを追うのは現実的ではないのは明らかだ。

そのまま尾根に従って降りていくと鉄塔に出る。

そのわきには巡視道がしっかり整備されている。この巡視道をそのままたどると黒部川に出た。しかし最後の道路に出るところが雪により階段が隠れていてアプローチができない。泥壁を5mほどクライムダウンして無事黒部川に降り立つ。

さて予定はガンドウ尾根であった。しかし一日目が悪天候であまり進めなかったために、雲切新道に切り替えることにした。

いづれにしてもガンドウ尾根は偵察したいので林道に荷物を置いてガンドウ尾根の偵察に向かう。東谷吊橋は黒部川を降り立った地点から上流に10分ほど歩いた場所にある。途中はトンネルがあったり、プレートが外れた車が停車したりと山奥で人気がないにも関わらず生活感がある。

東谷吊橋を渡るとそこはガンドウ尾根である。

斜度があるのであわけだが、全く雪がついてない。ルートとしては少し左側にトラバースしてから斜度の緩いルンゼを上るということだ。トラバースも雪が腐っていてそれなりにまりいい感じではない。ガンドウ尾根の偵察を完了して、雲切新道に向かう。

 

この時にミスをしてしまった。仙人ダム~仙人谷渡渉~雲切新道に入ることばかり考えていた。そのために黒部川を渡渉するという選択肢がすっぽり抜けていた。よくよく見ると黒部川にはスノーブリッジがかかっていた。こちら側の岸からスノーブリッジに行くためには2mほど渡渉するがこれは飛び石伝いに行けたようだ。南仙人山であったパーティはこのスノーブリッジを越えてきたということであった。

仙人ダムを越える。右側は阿曽原、左側は池の平・仙人山である。左側に向かうとすぐに仙人谷左岸に出る。ここから急な階段をのぼり、仙人谷へと進んでいく。仙人谷は雪崩であちらこちらにデブリができている。200mほど進んでみる。

おっと、ここにはスノーブリッジができている。渡渉することなく右岸に渡れた。やはり今年は雪が多いようだ。さてここから尾根にはいいるまでのトラバースが難関であった。

雲切新道は夏道がある。しかしこの夏道は尾根に入るまでは山の腹をぐるっと巻いていく。当然雪がついていればその道は埋まっているわけでありどこにあるかは全くわからない。尾根ならば地形で判断できるがトラバースともなると厄介だ。地図からほぼ高度は変わらないことがわかっているので、なるべく標高を変えずに所々出ている地面やバンドを狙いながら進んでいく。地図で見ると近いのだが、5m幅くらいのルンゼがいくつか入っている。雪がグサグサ体が沈む。結局このトラバースには一時間かかって、尾根に入る地点へとたどり着いた。

尾根に入ってから順調に高度を稼ぐ。ここまで踏み跡がなく苦労したわけだが、尾根の途中で足跡が現れた。。。これはどういうことだ。結局六時半までこの日も行動した。登るほど斜面が緩くなり、すこし薄暗くなってきたところで幕営。明日の天気は雨という予報である。

4月30日 雨のち曇り
8:30 BC – 12:00 南仙人山 – 13:00 仙人小屋 – 14:30 池の平小屋 – 17:30 池の平山
朝方まで雨は降っているものの少しずつ弱まってきている。西の空は次第に曇りが薄くなり北仙人山方面もガスは晴れているようだ。ここから先は池の平山までやばいところはない。ひたすら雪稜歩きである。天気が完全に回復するのを待っていると池の平山までつくことができないので、出発する。

仙人谷方面が登山道であるが、雪が積もっている今尾根をそのままたどりガンドウ尾根に合流する方面に向かう。途中で先行者の幕営があったので挨拶をする。牛首から来たようだ。黒部はスノーブリッジを渡ったということであった。億劫がらずに黒部川でしっかり確認すべきであった。池の平まではこのパーティと前後しながら進んでいく。雪はそれなりに潜るので人数が多いのはありがたい。

 

仙人小屋はまだまだ雪の中である。この小屋が開く程度に雪が解けるためにはどれくらいの期間が必要なのだろうか。そもそも小屋開きをするにしても阿曽原もしくは黒部ダムからの水平歩道はそう簡単には開通しない。その意味では小屋のお客はしばらくは剣沢経由で来るしかないだろうか。そんなことを考えながら北仙人山へと足を延ばす。

今日の大きな課題の一つとして電波が探すところを見つけることだ。明日以降池の平山~小窓~小窓の王~三ノ窓は黒部横断の核心ともいえる。天気次第で予定がずいぶん変わるので何とか電波がはいる標高まで登りたい。

北仙人山まで登ると剣岳は目前だ。去年登った八つ峰、そのうち登ろうと考えている三ノ窓尾根が目の前に横たわる。

曇りのせいか岩壁が黒々として人を寄せ付けない雰囲気を漂わせている。そして池の平山が目の前にそびえている。150m下って500m登り返す。一日の終わりにこのアルバイトはつらい。。。

池の平山についたのは5時過ぎ。もう一歩も動けないがテントを張らないことには始まらない。今晩は天気が下り坂で雪が降ることも予想される。標高もずいぶん高くなり風も強くなる可能性があるので念入りに雪壁をこしらえる。

ラジオを聴いていると明日はお昼過ぎくらいまでは天気が悪そうだ。問題は翌日以降である。全体的に下り坂になっているなかで剣の稜線を抜けるためには詳細な天気が知りたい。しかし自分の携帯には残念ながら一本も電波が立たない。朝起きてからの天気を見てみるかとぶつぶつぼやいていたら外から声がした。なんと隣のパーティーが天気予報を教えてくれた。ありがとう!!!

明日は一日雨が降ったりやんだりでぐずついた雰囲気である。回復するのは夕方六時からであり、それを待っていたら一日停滞することになる。その後は寒気団が入るために天気が見通せない。北方稜線を越える核心で、天気も核心となってしまったようだ。

5月1日 雨のち曇り
5:00 BC – 7:30 小窓 – 11:00 小窓の王 – 12:00 3の窓 – 15:00 剱岳頂上 – 20:00 早月小屋
朝3時に起きてみるとぱらぱらと雨音がする。天気が回復しないかと祈っていたものの山の神様は試練を与えるようだ。さて停滞するかどうか。とりあえずのんびりと朝ごはんを食べて明るくなるのを待ってみる。

テントの中でじっとしているがあまり寒さを感じない。風の音もほとんどしないために、この気候なら視界さえ取れれば出ようと考える。次第に外が明るくなりテントの幕をそろっと開けてみる。雨はぽつぽつしているものの視界は100mほど取れている。池の平の稜線もばっちりだ。急いでテントをたたみ出発する。

池の平は最初稜線上を水平に進んでいく。ずぼっ!雨が降っているせいで朝にもかかわらずあちこちで雪が腐っている。ハイ松と地面の境目を探るながらなるべくよさそうなところをたどる。行き詰ると懸垂下降の支点がある。時間がかかるのを嫌って当初はクライムダウンでいこうとしたがあちらこちらシュルンドが口を開いているうえに、雪のぐさぐさなので懸垂下降を繰り返す。懸垂下降は4回、一回は空中懸垂になった。

1時間半ほどでようやく小窓に降り立つ。

 

天気が少しずつ回復しているようだ。小窓雪渓と西仙人谷は両方とも明るい。残雪期に今度は西仙人谷をスキーで降りてみよう。ここから小窓の頭へ登り返す。小窓から見るとずんっとそびえたっている印象があったが登ってみると斜度は緩く、30分もかからなかった。
小窓の頭から小窓の王へは雪稜を上ったり下ったり。とにかく雪が悪いので時間ばかりかかる。アイゼンが岩の上に乗るとがちがちと歯をならしている。うーむけずれないでくれよ。。。しょうがないのでよさそうな雪面に足を踏み入れるとそこは落とし穴の罠。腰まで埋まってしまい一苦労。

小窓の王はクライムダウンもできるということだが雪がべったりくっつき。かなり急に感じる。この斜度をクライムダウンはよほどの心臓がないとつらいだろう。

あっさり懸垂。三ノ窓までのトラバースがまた悪し。池ノ谷に引きずれこまれそうな感じ。

剣尾根に入っている人はいるのかとみてみるが、踏み跡は一切ない。ここまで人にまった会わず、去年とは大違いだ。少し明るくなってきたので振り返ると発射台がはっきり見える。いや、あれをクライムダウンはいかがなものかと。。。

長次郎のコル~池ノ谷の頭がまた悶絶に悪い。雪がスカスカなうえに中途半端に岩に張り付いているだけなのでズボ、ズルをひたすら繰り返す。

池ノ谷の頭までくればあとは剣の頂上までひとっ走り、天気も回復してきたので気分がずいぶん楽になった。

ソフトバンクはここでも電波が入らず、、、家に連絡できない。

踏み跡もいっさいなく、早月尾根も相変わらずズボズボ。できたら今日中に早月小屋まで下りたいと油切れのゼンマイのようになった足を必死に動かす。早月小屋の赤ランプが見えるころには暗くなってしまったが、尾根をたどるだけなのでそのまますすむ。ついたのは20時を過ぎていた。本日の行動時間は15時間。ばてた。

5月2日 雨のち晴れ
9:30 BC – 14:00 番場島

朝方雨が降っていたものの、急速に晴れる。寒気も入ってきたようで、この標高の割には気温が低い。

降りるの面倒だなあとぶつぶついいながら下っていると登ってくる登山者が!朝方は豪雨だったのに晴れるとわかっていたので登ってきたとのこと、剣の登山者おそるべし!すれ違うとそこにはりっぱな踏み跡が!番場島に降り立ったのは午後2時であった。

このルートはゴールデンウィークであれば決して難しいルートではない。しかし自分が持っているあらゆる技術、例えば、雪稜、岩稜、ルートファインディング、沢登り、幕営が必要とされる。しかも期間が長くなり疲れが出てくると簡単な動作でも間違いが出てくる。せっかくなので一回といわずにまた訪れたいと思わせるルートだった。

[準備編]
2018年ゴールデンウィークで八つ峰を登攀した時に黒部横断してきた人から話を聞いた。それ以来2019年度の目標として一年越しで準備した。記録を見ると厳冬期はまずありえないのでゴールデンウィークを目指す。

ゴールデンウィークの黒部横断のポイントとしては以下がある。
1) 長期山行
長期山行については夏休み、冬休みくらいしか休みをとれない。その機会に2泊から3泊の山行を繰り返す。食料と燃料を調整すれば65リットルザックで10日程度は可能。

2) 荷物
長期山行そして尾根の上り下りが多いことからあらゆる意味で軽量化を図る必要がある。これは夏休み黄連谷、3月鹿島槍、岳沢アイスクライミングで荷物を組み換えをいろいろ試して最低限度のものだけをリストアップした。

3) 食事
食事は削りすぎると夢も希望も無くなる。疲れにくく満足感がある食事のポイントは脂とタンパク質。脂があると食事の満足感が違う。食事も冷めにくい。タンパク質をとると翌日の疲れが残りにくい。α米、麺類、スープをベースにしてぺミカンを適宜加える。さらに小屋豆腐、プロテイン等を持っていく。

4) 長時間行動の可能性
長時間行動に関しては18時間程度の山行を何回か繰り返し、18時間行動できるスピード感覚を覚えた。

5) 濡れた衣服および靴の処理
ゴールデンウィークは比較的気温が高いためによほど冷えない限り凍傷の心配はない。そうはいっても濡れてバリバリになってしまえばどうにもならない。こちらは昼間と幕営中で衣服を変えることにした。ポイントとしては幕営中の服と寝袋は絶対にぬらさないようにする。こちらは泊りの沢登りと同じパッキングをすることで濡れ物と乾きものを分けるにように努めた。

6) 黒部川に下降したときに尾根を越えたことによるメンタルへの影響
普通であれば稜線に上り山頂を踏み、主稜線を適宜降りて下山する。しかし黒部横断は主稜線に上り逆側に降りていく。このメンタル感は如何様なものか。メンタルで躊躇してしまえば、明確な疲れではなくてもじわりじわりと体の動きに影響が出ることが予想される。尾根を越えて登り返すという感覚に慣れるために、三峰川岳沢の山行を3月に実施してみた。この時は結局岳沢敗退であったが尾根を越えてもまた戻ってくればよいという妙な?安心感を覚えた。

7) 牛首尾根もしくは東谷尾根のルーファンの選択
明らか難航するのがこちら。牛首尾根にすると懸垂下降で戻ることも困難になる。迷ったとしても確実に戻れる東谷尾根を今回は選択する。


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