大仙丈ケ岳三峰川岳沢アイスクライミング-3度目の正直はこれ如何に?

■日時 3/17-3/19
■場所大仙丈ケ岳三峰川岳沢
■メンバー Yone (記)
■タイムテーブル
3/17
3:00 駐車場
5:00 北俣・南俣分岐
7:20 営林小屋
11:00 岳沢越え
12:00 岳沢出合
14:00 F1アプローチ滝下
15:00 F3下
19:00 F4下(幕営)

3/18
6:00 F4下
8:00 F8下
9:00 F8 1P
10:30 F8 2P
13:00 F8 3P
16:00 F8 上(幕営)

3/19
6:00 F8 上
7:00 二俣
10:30 大仙丈ケ岳
12:00 仙丈ケ岳
23:00 地蔵尾根柏木登山口

2019年に初めて訪れてから、今回で3回目。日本語のことわざにもあるが三度目の正直。この意味を考えてみると、とりあえず同じことを三回繰り返しているうちにいろいろ物事がうまく回るように工夫して、結果的に成功するということではないだろうか。計画して、実行して、反省して、修正してという、最近はやりの言葉で言うならばPDCAサイクルを3回くらい回せばあたりを引くこともあるのだろう。

2020年12月は、滝にドボンしてそもそもF1までもたどり着かなかった。前回からさらに軽量化をはかった。また軽量化によりロープの直径が変わったためにソロクライミングの方法も変えたためにその検証のために今シーズン最後のチャレンジ。うまくいったら儲けものだったが、結果としては高気圧にもめぐまれて、ようやくソーメン流しをのぼり、大仙丈までたどり着けた。

3/17は午前3時に駐車場を出発。南沢の渡渉地点が不明であるために明るい時間帯が望ましい。しかし1月に来た際に渡渉地点の様子はおおよそ確認しているので暗くても問題ない。今回は運がいいことに飛び石とルート工作で靴を脱ぐ必要はなかった。

すでに慣れた営林小屋は前回より一時間ほど早く通り過ぎる。ここからは前回見つけた赤札を伝って岳沢越えのルートに入っていく。

心配だったの氷の氷結具合であるが、南沢の氷はまだまだしっかりしている。これならば標高が上がればアイスクライミングする程度の氷は残っている・・・気がする。

南沢の氷一つ目

南沢の氷2つ目

岳沢越えはこれも前回見つけた踏み跡をたどっていく。しかしこの道はどうもはずれというか、どこかで右側に入らなければいけなかったようで、詰めすぎたら藪でどうにも動きが取れなくなってしまった。銀マットを外側に括り付けていたのだが、ぼろぼろになってしまった。

岳沢越えは11時に到着。反対の三峰川に降りるまではトレースが残っているので楽に降りることができた。

岳沢出合には12時に到着する。ここまでは順調でありうまくいけばF5までたどり着くかもしれない。遠くにはソーメン流しが「こっちだよ~」と招いている。

F1下アプローチの滝は完全に雪に埋もれている。

続くF1は半分は雪に覆われている。左側にうすく氷がかぶっているのでなんとか進めそうである。

一見、緩そうだったのが近寄ってみると案外立っているうえに、左から入るところの氷の向きが悪い。さらに氷自体も薄く、荷物も重い。フリーで突入したためにいきなり緊張感あふれるクライミングとなった。

F1を登ると開けた場所に出る。これまでF1を巻くとしたらどちらからと考えいたが、地形を見る限りはF1の巻は右岸側で間違いないようだ。懸垂なしで降りれるような斜度となっている。

おそらくF2と思われる場所を登ると左側に垂直の氷が見えてくる。

この氷を通り過ぎ、右を見てみるとF3の登場!

解けてきてはいるがそれにしてもでかいうえに案外立っている。ルートとしては3つある。1)垂直に登る、2)右側のななめのところから、3)巻ルート。

このうち巻ルートは巻きには見えないくらい悪そうであり、これを選ぶなら氷のほうがマシにみえる。簡単なのは2)であるが、ソーメン流しでいづれにしても直登が出てくるはずであり、ソロクライミングの練習もしたいので、1)を選ぶ。

一回目の登りは垂直部を登るのに1時間ほどかかってしまった。氷が薄いうえに、時間がたつと温度のせいか急に氷がくずれてしまい、気を使ったクライミングであった。そこから右の立ち木にランナーを仕掛け、右の際を狙おうとしたがここは完全に氷が壊れてしまい、再度真ん中に戻る。F4下に出たのだが、すでにスクリューが一本しかないので、氷での支点づくりは難しい。左に立ち木があるのだが、余計なところにランナーをとったために長さが足りない。予備のロープが10mあったのでこれを利用して立ち木から伸ばし支点構築。たりなかったらやばかった。結局支点構築に30分ほどかかった。懸垂下降して準備して30分。登り返しではすでにスクリューが気温で緩んできていて、氷に噛んでなく冷や汗をかく。登り返しは一時間かかり。合計3時間。すでに暗くなってしまった。

F4の下に斜度があるが雪だまりとなっている個所がある。きわどいがここを一畳分だけ整地して幕営。

翌日はF4からである。

前日下から見上げたときには特に問題を感じなかったのだが、幕営したところからはF4の上部分が見える。ここをよく見てみるとかなり氷が薄くなっていることが分かった。

ソロクライミングでは登り返しがあるために、支点が取れなければどうにもならない。F3上部を見ても氷はかなり薄くなっており、安全をとって、F4は高巻することにした。

高巻中にF3とF4を望む

あたりを付けたルートは踏み跡、岩と谷のはざまの際、さらに鹿の足跡に導かれおよそ2時間ほどで高巻を抜ける。正面にはソーメン流しの末端が見えてきた(この時点では末端と気づいてはいなかった)

垂直部までは2つの滝をつなげていく。斜度はそれほどでもないのだが、見た目よりでかい。さらにゆるいといっても休める場所はないのでひいこら、と必死にアックスをふるう。

のぼったところでふと見るとみたような氷が、、、ソーメン流しではないか。

 

ここでようやく、すでにソーメン流しに突入していたことに気づく。

ここからロープを出していく。まず1Pである。だんだんとなっているのでそこまでは難しくない。また氷もまだ朝のうちでありしっかりしている。

2P目はトラバースしてから直登する。このトラバースが少々やらしかった。

さて2Pを登った時点でスクリューは4本残っている。上部には木があるので支点として利用できる。迷ったが、安全策を考慮していったんここで支点をとる。

3pはかなり立っているうえに、太陽が当たったところから氷が解けてきている。ここはかなり時間がかかった。

登っている途中でお約束の一枚。。。この高度はやばい。。。

朝9時に取り付いたはずなのに、すでに4時を回っている。本日はホテルソーメン流し。ここはF9の下、地形的に曲がっている個所であるので、雪崩の心配はない。前日と違って平でもあり快適に過ごすことができた。

翌日はF9からはじまる。

F10である。

.

ここが最後の2俣と勘違いして左に入ったが、右が正解だったようだ。右の滝がF11だったらしい。

大仙丈ケ岳には支尾根から入ってようやく到着。長かった。

仙丈ケ岳にはお昼過ぎに到着したが、ここからの地蔵尾根がとにかく長い。基本トラバースと下るだけなのだが、進んでも進んでも地図から見るとわずかな距離である。また何か所か雪が腰まで潜りこむ場所もあり、予期せぬラッセルまであった。

登山口には23時に到着した。

このルートは氷のルートとしてはそこまで難しくない。しかし距離の長さ、全装備を担ぎ上げるために黄連谷よりは1~1.5ランクほど上である。今回は天候に恵まれて、行動時間を長くとることができた。しかしこれも1月の日照時間が短い時や悪天候ではさらにレベルが上がる。自分の実力から考えるとぎりぎりの山行であり、戻ってこれたことに感謝である。

 


投稿する

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)