谷川岳 一ノ倉沢左方ルンゼ〜東尾根

メンバー:Some, ヨネ
タイムテーブル:
4:00 ベースプラザ
6:00 一の倉沢入口
10:00 F5
12:00 一・二の沢中間稜
14:00 東尾根
17:35 谷川岳山頂

春が近づく中、スキー三昧でまったく雪山に行っていない!たまたま空いていた週末で雪を楽しんで来ようと計画を立てた。

一泊二日で考えると、八ヶ岳、谷川岳、中央アルプス。去年の夏からちょくちょく山行を入れているし、距離的にも日帰りでいける谷川岳を選んだ。マチガ沢、一の倉沢、幽の沢から、小粒でもピリリとからそうな一の倉沢左方ルンゼに決定。

ベースプラザを朝4時出発。気温は0度を少し切るくらい。朝方だから冷えているが、天気が良くなると一気に温度が上がる雰囲気を感じる。気温が上がると雪がゆるむので雪崩が心配だ。結果としてこの心配は現実となった。一の倉沢までは順調。6時に到着。沢の入り口付近には、およそ10人くらいの人が到着している。この人たちがみんな一の倉沢に入るのかとビビってしまった。実際には一の倉沢でモルゲンロートを撮影するために来ていたらしい。

モルゲンロートで谷川岳が朝日で赤く染まる中をずいずいと一の倉沢へ進む。右斜面は全層雪崩が起きたようだ。雪面がなくなり完全に土の斜面が顔を出している。一の倉沢は冷蔵庫位のデブリでふさがれている。デブリを大きくよけながら進む。一の沢までは雪崩のあとだらけ。安全そうなところ、何それおいしいの?デブリの中を恐る恐る進む。気温が登っていないのだけが救いだ。

左方ルンゼ入口は目印の石塔があるのですぐに分かった。最初のF1はしっかり氷結している。ロープなしでも行けそうであった。しかし滑ってしまうとデブリの中に一直線であるので緩く確保。F1からF5の入り口までは雪面とアイスを交互にひたすら登っていく。たまにある堅い氷でランニングを取りつつ急いで進む。なぜかというと前にパーティがいて氷がたまに降ってくるからである。中途半端に斜度がある。氷が落ちてこなくてかつビレイができる場所を見つけるのは一苦労であった。

結構飛ばしたおかげでF5までは順調。これはロープウェイで帰れるか、もしかしたらあの幻の天神カレーも食べられるかも!と期待していたらフラグがたったぽい。

F5チョックストーンは左側にうすいベルグラがはっていて悪くはない。しかしその手前のビレイがあまり良くなかったので、ザックを下して進む。越えるとすぐに枯れ木がある、確保できそうだが、ルンゼの絞り込んでいる場所であり、ちり雪崩が降ってくる。もう少し上に場所をずらす。ここでスタンディングアックスビレイ・・・Someがまったく登ってこない。回収に戸惑っている?声をかけてもよくわからない。「おーい、登れー」「のぼりまーす」・・・登ってこない。チョックストーンの処理に手間取っているようだ。ザックをどうやって先行させるかもわからないようである。失敗・・・こんなことなら普通にザックを背負えば良かった。スタンディングアックスビレイを組み替えて負荷がかかってもよいように支点を作る。ロープをぎちぎちにはる。引き上げ、ロープにたるみができた瞬間を狙って巻き上げる。肩にロープをは食い込むし、上からはチリ雪崩。30分くらいで何とか一安心。手はジンジンする、肩もロープが食い込んだところが痛い。

中間稜までは雪面を駆け上がる。ここから東尾根までは雪面をあがっていけばよい。ここで2つめのドラマ。中間稜最後の部分、東尾根が見えたところで、トレースが10mトラバースする。左側のルンゼから東尾根に登っている。トラバースは枝が絡んでいて進みにくそう、斜度もある。目の前には普通の雪壁があるので、直登したら大失敗!!!40cmほどの雪は岩に乗っかっているだけ。進むそばから崩れ、がちがちと岩にアイゼンの爪があたる。やばいと冷や汗が出るが、もはや戻ることもできず。右側に樹林が生えている急な尾根に逃げ込む。ここからは木登りでひたすら東尾根まで進む。

東尾根から頂上まではナイフリッジと雪面が続く。

先行しているパーティがトレースをつけているので、気分は終わったも同然・・・第3のドラマが!雪面が水平に10mほど割れている部分がある。「これくずれるかな」と思いつつ、前のパーティは問題なく進んでいたし、Someもうまく越える。近づく内側に隙間が空いている。3人進んでいるし大丈夫と思って進んだとたん、無重力状態。体が一気に下に落とし込まれる。気づくと横幅10m縦5m深さ3m位に雪が崩れている。右手が動かないのでふっとみると体は半分雪の中。「おいおい、これどうするんだよ」。先行するSomeにロープを出してもらう。その間に体を雪から出す。シュルントを抜け出そうとするが、正面はハングで雪もやわらかい。左側はさらに隙間が空いていて、進む端から雪が崩れる。右側に活路を見出す。かたまった雪を利用しながら少しずつ足場を作る。シュルントはすでに地面に達していて岩肌が出ている。衝撃を加えると一気に全層雪崩になりかねない。右側の斜面から斜めに抜け出す。雪を崩さないようにかたつむりのような速さでのそのそと雪を固めながら進む。10m進むのに15分くらいかかった。何とか安全地帯に到達。じわっと汗がつたわってくる。

その先は順調に雪稜をたどっていく。雪面にひびが入っているところもあったが、こちらは無事に通過。五時半に谷川岳頂上に到着。

すでにロープウェイは終わっているので西黒尾根を降りていくことになる。暗くなる前に前半部分の険しいところだけは抜けようと考えて飛ばしながら降りる。駐車場にはついたのは19時を過ぎていた。

 


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