西穂高岳~奥穂高岳~前穂高岳

奥穂高岳
■日時 8月19日(金)〜21日(日)

■場所  西穂高岳~奥穂高岳~前穂高岳

■目的  縦走

■メンバー ツッキー(L,記)、mikeさん、タナミー

■天候  19(金)曇り時々晴れ 20(土)晴れのち雨 21(日)晴れ時々曇り

■タイムテーブル

8/19  11:40新穂高ロープウェイ登山口 > 12:30西穂山荘着

8/20  03:30起床 > 04:00出発 > 05:00西穂独標 > 06:30西穂高岳 > 09:10天狗のコル > 11:20ジャンダルム > 13:20馬の背 > 14:00奥穂高岳 > 14:50穂高岳山荘着

8/21  03:30起床 > 04:00出発 > 05:00奥穂高岳 > 07:10紀美子平 > 07:30前穂高岳 > 08:30紀美子平 > 10:30岳沢小屋 > 13:00上高地

■コメント

夏はやっぱり、北アルプスの稜線を歩きたい! ジャンダルムにも登ってみたい! mikeさんは、奥穂から吊尾根、前穂を歩きたい! タナミーさんは、飛騨尾根や奥穂へのクライミングルートを確認したい! ということで、今回、mikeさん、タナミーさんの3人で穂高縦走に行ってきました。

mikeさん、タナミーさんは西穂~奥穂間の縦走経験はすでにあり、自分だけが今回が初めてでした。今回、この山行を決行するかどうか、最後まで、非常に悩ましかったのが不安定な大気の状態でした。中止にしてもおかしくないような、気圧配置の天気図でしたが、山の天気は実際に山に行ってみないとわからないということで、天候悪化の場合のエスケープのシナリオも幾つか想定し、現場での天候による進退判断も大事な経験として捉え、山行を決行しました。

前日18日の深夜に沢渡に到着し、駐車場にて前泊。19日は、路線バスで沢渡から平湯温泉経由にて新穂高ロープウェイ乗り場まで、のんびり路線バスの旅。沢渡を出発する時、どんより曇り空で、雨は覚悟しているけど、でも、西穂山荘に着くまで雨は降らないといいねと話していたので、安房トンネルを出た途端、雲間から青空が見え始め、時には強烈な日差しも車中に差し込み、3人のテンションは急上昇。

今回の縦走は山荘泊まりのため、荷物を軽くしたつもりだったのに、ロープウェイ乗り場でザックの重量を計ると3人とも10キロは軽く超えていたのにはびっくり。しっかり、荷物料金も支払いました。普段、クライミングの山行時は、ロープに、ギアに、その他諸々で15~16キロぐらい、あるいはそれ以上の重さを普通に背負っているんだなと改めて実感。

一般の観光客の方と一緒にしばし、空中散歩を楽しみました。ゴンドラの中で、今流行のポケモンGOでキャラクターをゲットしている方がいたのにはビックリ!

ロープウェイを降り、登山届を提出し、西穂高口から千石尾根の登山道をゆっくり歩きながら、約1時間弱で西穂山荘に到着。夏休みということもあり、子連れ登山の方が多く見受けられました。

西穂山荘までの登山道 お子さん連れがちらほら

西穂山荘までの登山道 お子さん連れがちらほら

お天気も良かったので、山荘前のテラスで霞沢岳を眺めながら、生ビールとmikeさんはホットミルクでまずは乾杯。タナミーさんは、山荘名物のラーメンを食し、その後、行動食のサンドイッチ作りに専念。

夕食時、気象予報士の資格を持つ山荘の代表の方から、翌日の山の天気予報の有難いサービスも。朝のうちは晴れだが、午前11時頃より雨との事。しかも太平洋上には低気圧が3つも発生し、非常に予測が難しいとの事。今回の縦走の核心である、間ノ岳~ジャンダルム間の通過時、雨は決定的。まあ、これは想定内。

20日は早朝4時出発。外に出てみると、ほぼ満月の月明かりに、山々の稜線が黒く浮かび上がっている。mikeさんを先頭に、出だしはゆっくりペースで登り始める。

明神岳と前穂高岳の稜線が黒く浮かぶ

明神岳と前穂高岳の稜線が黒く浮かぶ

今回の縦走に際して、Yoneさんより、ただ歩くだけじゃなくて、雪山で歩く場合を想定しての、稜線のライン取りや、ビバークポイントを探しながら下見をして来いとのご指導を受けていたので、3人で飛騨側のハイマツの生え具合や、信州側の断崖の状態等を判断材料に、冬の飛騨側から吹き付ける強烈な北西の風や、信州側への雪庇の張り出し具合を想像しながら、ビバークポイントならどこだろう?と話し合いながら歩いていました。

西穂高山頂までは、コースタイムより30分も早いペースで快調に登って行きました。快晴で北アルプスの山々が一望。

西穂高岳山頂

西穂高岳山頂

山頂で、腹ごしらえをして、いよいよ縦走の核心部へ突入。西穂高岳から、間ノ岳までアップダウンが続き、トラバースあり、しかもクサリ場もあり、下りではかなり注意深く慎重に、三点支持で確実に。トラバースの連続するクサリ場ではセルフビレイをしながら通過。

奥穂高岳まで続く長い稜線

奥穂高岳まで続く長い稜線

間天のコルの先の逆層スラブはそれほど滑りやすいという感じは受けなかった。

逆層スラブをのぼる

逆層スラブをのぼる

天狗の頭へ向かうあたりから、奥穂側から怪しい雲が湧き始め、ポツポツ雨が降り始めたので雨具の出番。天狗のコルまでのクサリ場の下りは、非常に高度感もあり、かなりの緊張感が。しかも、自分は朝食をあまり食べていなかったせいで、シャリバテで非常に疲労感が出てきてしまっていた。天狗のコルでは、岳沢側へのエスケープルートの確認をしたり、避難小屋跡を見たり。

雨の降るなか登る

雨の降るなか登る

天狗のコルからは、ジャンダルムに向けて長い登りで、ここは本当に体力的にキツかった。

雨でガスっていたので、景色は全く見えず、我慢我慢で登っていたら、突然、ジャンダルムの基部にたどり着いたような感じだった。すでにジャンダルムには何人もの登山者が登り始めており、先行者が落とすかもしれない落石が怖いので、一通り先行者が登り終わるのを待って、我々もジャンダルムに向け登り始めた。

ジャンダルムのてっぺんからは、残念ながらガスガスで何も見えなかったけれど、ちゃんと天使が待っていてくれた。

ジャンダルムには”天使ちゃん”がいる

ジャンダルムには”天使ちゃん”がいる

再びジャンダルム基部まで下り、奥穂へ向けて、基部の右側の細いバンドをトラバース。ここも、非常に緊張感のあるパート。そして、ロバの耳はどこだったのか、よくわからないうちに通過してしまい、そして、いよいよ馬の背へ。

馬の背のナイフリッジは、今までにもこんな切り立った岩稜見たことあるなと思ったら、太刀岡山左岩稜のナイフリッジや、北穂東稜のゴジラの背でした。ホールドもしっかりあるので、丁寧に足を置いていけば、それほど緊張感も感じずに問題なく通過。

馬の背、登ります。

馬の背、登ります。

馬の背、登ってます。

馬の背、登ってます。

そしてようやく奥穂山頂に到着。記念撮影をし、穂高岳山荘に向けて出発。早く山荘にたどり着きたい気持ちだけで、疲れきった足を、黙々と動かしていた。

奥穂高岳の山頂

奥穂高岳の山頂

11時間にもわたる行動時間で、しかもずっと緊張の連続でしたので、相当な疲労感が。でもそれと同時に、ハードな難ルートを歩き通したという達成感も感じることができました。

山荘は、多くの登山者でごった返していました。玄関脇の休憩スペースで、ビールで乾杯していると、隣り合った酔っ払いのおじさんに、タナミーさんが絡まれる始末。しかも、タナミーさんは、おじさんにガイドだと思われていた。(確かに、メンバー構成的に見ると、中年女性2名とガイドさんという感じですからね、縦走途中すれ違った若いお兄ちゃんにもガイドさんですか?と声をかけられていたし)

山小屋でのこういった出会いが、山旅の一つの楽しみでもありますね。

最終日21日は、奥穂から吊尾根経由で前穂へ。早朝4時出発。雲は多いながらも晴れている。ジャンダルムも、飛騨尾根もよく見えている。自分達が登ってきた西穂から続く稜線も。改めて見ると、本当によく頑張って登ってきたな~と感慨もひとしお!

ジャンダルムと飛騨尾根の稜線

ジャンダルムと飛騨尾根の稜線

吊尾根から奥穂南稜のルートを確認したりしながら紀美子平へ。

吊尾根の先には前穂高岳

吊尾根の先には前穂高岳

紀美子平でザックをデポし、空身で前穂山頂へ。

前穂高岳の山頂

前穂高岳の山頂

もうこの時点で、足にはかなりの疲労が溜まっていて、しかも筋肉痛まで。その後、重太郎新道の下りがかなりキツかった。岳沢小屋で休憩した後、タナミーさんからお助けストックを借りて下山開始。

岳沢の天然クーラーの所で休憩していると、オコジョがひょっこり顔を出し、我々の周囲をくるくる走りまわっていた。オコジョの可愛さに癒され、気持ちも少しリフレッシュでき、上高地に向けてラストスパート。

事故、怪我もなく無事に上高地に下山。

登山道入り口まで降りてきた

登山道入り口まで降りてきた

非常にハードでしたが、本当に充実した縦走ができました。

帰りは竜島温泉で汗を流し、松本で美味しいお蕎麦を食べて帰京となりました。

■タナミーのコメント

西穂ー奥穂のハイライトにあるジャンダルム。そこになるアルパインルートを偵察できるのなら。奥穂ー前穂にある南稜の頭。この頭に通じる南稜を偵察できるのなら、と思い縦走について行きました。

ジャンダルムは雨滴るガスのなか

ジャンダルムは雨滴るガスのなか

残念なことにジャンダルムの飛騨尾根におりるコルからの下降路は、雨滴るガスのなかで確認できませんでした。まぁ、また今度ですね。

奥穂南稜のトリコニーあたり?

奥穂南稜のトリコニーあたり?

南稜の頭から前穂側へすこし降ったあたりの縦走路からみえる顕著な尾根が確認できました。あとでトポを見れば、おそらく南稜のトリコニーかと思います。このあたりまで上がってくれば快適な岩稜登りかと思いますが、下部はきっと草が生い茂り藪漕ぎが必至です。夏季の記録が多いですが、雪のついた季節にも登られているのでそういう季節の雪壁登攀の技術を身につけて、挑んでみたいと思います。


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