八ヶ岳 赤岳東壁Aルンゼ

八ヶ岳(夏)
■日時 10月16日(日)

■場所  八ヶ岳 赤岳東壁Aルンゼ

■目的  アルパインクライミング

■メンバー  Gunsouさん、ツッキーさん、タナミー(記)

■天候  快晴

■タイムテーブル

06:15 登山道入口

06:50 県界尾根へあがる登山道と別れ大門沢に入る

12:30 県界尾根登山道に合流

13:30 赤岳山頂 14:15

17:30 登山道入口

■コメント 記:gunsou

日本登山体系8より

日本登山体系8より

赤岳東面大門沢枝沢小尾根大門沢本流センターリッジ末端県界尾根

アプローチや登攀に関して、ネットでの情報が少なかったため、日本登山大系頼りで進みました。

「アザミゴルジュを突破しなければ・・・」という情報がありましたが、アプローチには多少ありましたが、時期的なものか気になるほどではなく、快適に歩けました。

 

大門沢の左岸を藪こきながら進む

大門沢の左岸を藪こきながら進む

県界尾根登山口から進み、県界尾根に向かう急登前の分岐を過ぎてからも大門沢には堰堤が多く、それら巨大な堰堤は全て左岸側を通過しました。

 

堰堤がなくなったあたりで枯れ沢に入る

堰堤がなくなったあたりで枯れ沢に入る

ようやく沢登り(と言っても涸れ沢)らしくなってきたところを遡行しますが、大門沢は本流と枝沢が分かりにくいです。右俣に入ってしまうとB、Cルンゼに向かってしまうので、意識的に左俣を進みましたが、どうにもこうにも地形がイメージと違います。大系の遡行図がアバウトな初見殺しなことにも苦労しました。

沢の幅が狭くなり、、、。

沢の幅が狭くなり、、、。

やっと大門沢の本流に入る

やっと大門沢の本流に入る

手探りで進んでみましたが、現在遡行中の沢はいつの間にか右に進みすぎたと考え、左側にある小尾根に登って偵察をしてみると沢の水音が聞こえます。そちらの方が本流っぽいので、沢を変えることにしました。ここで不思議なのが、これまで意識的に左を選択して来たはずなのに、そのまた左にいつの間にか沢があったということです。

結果的にはその沢が奥壁Aルンゼに向かう本流でした。が、この時点では「いきなり現れた謎の沢だけど、幅も広いし頂上に向かっている沢」としか思えなかったので、引き続き慎重に進みます。

ゴルジュ帯を順調に登っていく

ゴルジュ帯を順調に登っていく

「二俣」と「奥の二俣」をチェックポイントとしましたが、どうにも分かりにくい沢でした。

奥の二俣に至り、左俣(本流)にはどう見てもフリーでは登れない10mハング滝があり、右俣を少し登ってから尾根を越えて左俣(本流)に戻ろうかとも考えましたが、そちらも地味に悪く、中間にある草付きの尾根(実はセンターリッジ末端)を登って巻くことにしました。

急斜面の草原を四つん這いで登り、本流に下降するポイントを探しますが、尾根を進みすぎたためか結構な距離があったため、下降後に万が一にも登り返すリスクを避け、取りあえずは尾根を進んで様子をみることにしました。

草付きの斜面を登り続ける

草付きの斜面を登り続ける

尾根(センターリッジ)も斜度を増してきたので、Aルンゼに向かう大門沢本流に懸垂で降りるかの最終判断材料とするために、右にある顕著な尾根に登って偵察をすることにしました。

県界尾根の一般道をハーネスをつけたまま

県界尾根の一般道をハーネスをつけたまま

すると、なんということでしょう!そこには立派な登山道が!!どう見ても県界尾根です、ありがとうございました。 ようやく地形とイメージが一致したので、再度下降して本流に戻り、Aルンゼに向かうかをパーティーで相談しましたが、ここまでの放浪っぷりを考えると、「赤岳東壁Aルンゼを登って来ました!」とはとても言えないということで、その選択はしませんでした。自分は何度も赤岳に登っていますが、他の二名は初めてということで、大げさな登攀装備のまま県界尾根から赤岳に登頂しました。いや~、一般登山道って快適♪

赤岳山頂

赤岳山頂

山頂から東面を見下ろして復習しましたが、上から見ると分かりやすいですね。残念ながら今回は偵察になってしまいましたが、赤岳東面に関してはそれなりに詳しくなったのが収穫です。

下山時は熊と遭遇した時のために、皆で犬の吠え声を練習しながらヘッデン下山。先行していた山ガールに気味悪がられたかも・・・ワンワン!

ポイント

・涸れ沢なので分岐に関してのルートファインディングが難しい。

・あまり人は入っていない。

・残置支点は期待出来なので、それに合わせたギア選択をする。

・奥壁登攀(大系では300m、ネット情報では30mのスラブ)だが、中間の200mくらいは斜度的にロープが必要と考えた方が良いかもしれない。よってマルチピッチになりそうな印象。

■コメント 記:ツッキー

爽やかな秋晴れの八ヶ岳。

かなりハードな、ワイルドアドベンチャーを楽しんできました。

赤岳東壁ルンゼって、そもそもどこにあるのですか~?というレベルの自分。

東壁ルンゼを赤岳山頂まで詰め上げるらしい、沢登り。

唯一の記録を見ると、かなりの藪漕ぎを強いられるルンゼみたい。

藪漕ぎ核心かもと、覚悟して行きました。

赤岳に登る、県界尾根沿いの脇を流れる、大門川。

いくつもの堰堤の脇を笹薮を漕いだり、アザミのとげに刺されたりしながら、旧道の薄っすら残る踏み跡を辿りつつ、ほとんどの部分が涸れている沢を詰めていきました。

滝を高巻いたり、クライムダウンもあったり、緊張する場面もありました。

ルーファイがかなり難しく、迷いながら、自分達の現在地を確認しつつ高度を上げていきました。

正面には赤岳がどっしり聳え立ち、後ろを振り返ると、富士山、南アルプスの山々が見渡せ、明るく、開けた開放感のある気持ちの良い沢でした。

最終的には、頂上直下のスラブまで、辿りつくことができず、登り詰めた沢から、草付きの急斜面を這い上がり、県界尾根に出て、小一時間ほどで赤岳山頂に登頂となりました。

今回は、地形図を忘れたり、色々、自分達の準備不足や、反省点もありましたが、ルーファイのとてもいい勉強ができて、貴重な経験になりました。

■コメント 記:タナミー

赤岳東壁Aルンゼ、大門沢奥壁と呼ばれるルートを登ったwebの記録は、たったの1件。その記録からロープを出すような部分は特になく、スラブも確保なしに登っていて、とくに難易度が高いという印象を受けませんでした。しかし、これが間違いでした。

初見のアルパインルート、かつ、岩壁や稜線でなく、ルンゼを詰めるのは初めてだったことが頭から抜けていました。そういうルンゼを詰めるというノウハウがないにも関わらず、なんとなしに登れるだろうと思っていたのです。

本流でなく枝沢を詰めてしまった間違いは、冷静に考えれば回避できたものです。選んだ沢は堰堤の端っこすぎでした。本流がそんな堰堤の端にあるはずがない。

こういう岩壁でない、尾根登りでないアルパインって、やはり難しいです。その場その場での判断が大切になってくることがよくわかりました。3度、間違いや想定外のことが起きれば、もう正しいルートや最初の地点に戻ることができなくなるでしょう。

しかし、そこが面白味でもある、とも感じます。


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