御在所

御在所

■日時 5月3日(火)~5月5日(木)

■場所  御在所

■目的  アルパインクライミング

■メンバー  E田(L)、Kumaちゃん、タナミー

■天候

5/3   晴れ のち 夜から大雨

5/4   明け方まで大雨 のち 晴れ

5/5   晴れ

■登攀ルート

5/4   中尾根バットレス カリフォルニアドリーミング 6p 5.12a/b

5/5   中尾根 5p V 〜 5.10a

■タイムテーブル

5/3 06:00日吉駅 → 13:00御在所岳の裏道登山道入口 → 14:00藤内小屋

5/4  08:00藤内小屋 → 08:50中尾根バットレス”カリフォルニアドリーミング”ルート取付09:20 → 16:30ルート終了点 →18:20ルート取付 → 19:00藤内小屋

5/5  06:15藤内小屋 → 07:30″中尾根”ルート取付08:00 → 12:30ルート終了点 → 13:40P2P3のコル(ツルムのコル)中尾根バットレス側に下る → 14:30藤内小屋 → 15:30御在所岳の裏道登山道入口 → 22:00日吉駅

■”カリフォルニアドリーミング”ルート

ギア:ヌンチャク12個、カム(ハンドサイズ1セット)、スリング、アッセンダー

1p,2p,3p,4pはスラブ、5p,6pはクラックで、ルート全体の核心は、 4p目前半の5.12a/bのスラブとは言い難いほどの傾斜の壁になる。

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取り付きからみる”カリフォルニアドリーミング”

スラブの名課題・小川山左岸スラブのジャーマンスープレックス(以後、GSと略する)を引き合いに出してスラブピッチを表現してみる。

1p目からいやらしいスラブ。GSの1ピン目の下あたりの左上するダイクに乗り上げるようなムーブが連続する。ダイクからダイクへ移っていけるので、スラブと言えどスメアリングだけで登ることにはならなかった。

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1p目

2p目はオリジナルのルートでなくウィンド・サーファーをたどる。GSでいうと1-2ピン目の間のようなスラブが連続し、核心部はGSと同じようにホールドはまったくない足のスメアリングのみで登る部分で、3,4ムーブ続いた。この核心はGSの核心部(2-3ピン目の岩肌が白い部分)よりも易しいが、よく似ていた。フォローのKumaちゃん・タナミー共々、スメアリングの片足に荷重を移して、もう片方の足の荷重を抜いたときに落ちると思い”テンション!”と叫びつつも、フリクションのよさに助けられて、落ちることなく登れた。

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2p目

3p目は1p目と同じようなピッチだった。ボルトピンの1つ目が遠かったが、左上するフレークにカムが効くクラックがあった。ダイクからダイクに移るトラバースで遠い部分が1箇所あり、このピッチの核心だった。

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3p目

4p目はこのルートの核心ピッチ。リードクライマーE田さんが約2時間を費やした。核心はスラブと呼べないほどのきつい傾斜でホールドスタンスがほとんど無いところでのトラバースだった。傾斜に関して言えば、小川山左岸スラブのロリータJUNKOと引けを取らないようだ。12クラスになるとタナミーでは体験したことに無いグレード感覚で、うまく記述ができないのが残念。もちろん、このピッチ、フォロ−はユマールでやり過ごした。

IMG_1213 のコピー

4p目の核心部 ここから左にトラバースする

5p目は濡れたIII級程度のパートとハンドサイズの前傾するコーナークラック。小川山レイバックの最上部の前傾よりも結構な前傾具合。クラックをアンダー持ち、足はスメアリングしてレイバックのような体勢の登るのが正解のようだが、一度ユマールをしてしまったのでタナミーはユマールしてしまった。Kumaちゃんはパワーを活かしてレイバックのように登ったが、一度テンションをもらってしまうと前傾壁なのでクラックに戻れなかったらしく、ユマールした。

6p目は見栄えが良いジャミングを駆使して登るクラック。逆”くの字”型のクラックで下側の右上クラックはハンドサイズで、キャメロットの青3番が使えるサイズ。上側の左上クラックはワイドの薄かぶりでフィストサイズで、キャメロットのグレー4番が使えるサイズ(実際には持っていなかったのでリードE田さんはプロテクションに悩んでいた)。タナミーは一般的男性の手のサイズよりちょいと小さめなので、下側はハンドジャム甘々だった。上側はフィストがスカスカするほど広く、ジャムできなかった。3度トライして箸にも棒にも掛からなかったので、ユマールしてしまった。

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6p目 逆”くの字”の下側 ハンドジャムが効く

 

下降は計3回の懸垂下降でバットレスに沿って下りた。1回目はルート終了点から4p目終了点、2回目は4p目終了点から2p目終了点、3回目は2p目終了点から取り付き。

■”中尾根ルート

ギア:ヌンチャク12個、カム(ハンドサイズ1セット)、スリング、アッセンダー

アプローチと下降について、地元クライマーから教えてもらえた。

P2とP3の間のコル(ツルムのコル)から東側の1ルンゼ右俣に下ると中尾根バットレス北面からのアプローチ道にぶつかる。地元クライマーはP4取り付きのアプローチ途中のここに登攀に要らない荷物を残置して、取り付きに向かう、登攀後はツルムのコルから懸垂下降して戻って来るとのことだった。トポに従うとツルムのコルからP4へ戻ることになっていたが、地元クライマーのやり方のほうが賢かった。

1p目はP4に登る。1箇所だけスクイーズドチムニーサイズがあった。”ありゃザック背負っていたら通れないな”ということで、ザックをヌンチャクでビレイルーブにぶら下げて登ろうとした。ザックの横幅ってあまり気に掛けたことがなかったが、体の厚みより大きかった。体はスクイーズドチムニーを通るのだが、ぶら下げたザックが挟まって動けなくなった。仕方ないのでチムニーから体を出してフェイスクライミングのごとくに登った。

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1p目 E田さんのすぐ上がスクイーズドチムニー

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1p目 P1の頂上から撮ってもらいました

2p目P3に登る。P4ピークからクライムダウンしてP3に取り付くのが2p目。チムニー登りはできるようなクラックでなく幅が広く浅い凹角を登る。探せばハンドジャムがバッチリのクラックがたくさんあるので、クラックをやっている人であれば特に困ることはないと思う。

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2p目 

3p目はP2の下側。日本マルチピッチフリークライミングルート図集にはIVと書いてあるが、そうとは思えない取り付きになっていた。2008年の崩壊で取り付きが変わったらしく、どう変わったかは詳しくわからないが、取り付きの高さがだいぶ低くなったのでは?と思う。リードのE田さんのムーブを見て、フリーで登るのはやめて、スリングの自作アブミで登った。しかし、一度トライしてだめだったので、ユマールしてしまった。地元クライマーの話では5.10dくらいとか言っていたが、ギリギリ5.11aをトップアウトできるようなタナミーには厳しい限りだった。

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3p目 取り付きからこの位置まで乗っこすのが難しい

4p目。P2の上側。グレードはVでそのとおりの難しさだった。

5p目。P1へチムニーを登る。P2から懸垂下降でP1P2のコルへ下り、P1へ向かう30mをチムニー登りした。ホールド・スタンスを見つけたり、バックアンドフットの向きを変えたりするために、全方位をよく見るため、3次元立体的なクライミングになるのが面白く感じた。

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5p目 

下降は懸垂下降3回。1回目はP1を登攀ルートのすぐ脇をルートに沿って懸垂下降。2回目はP2直下のラペルアンカーからP2P3のコル(ツルムのコル)へ。3回目はツルムのコルから1ルンゼ右俣へと下った。

シングルピッチのフリークライミングしかやっていない人にとっては、チムニー登りやホールドを手で掴むのではないジャミングでホールドの代わりをするクライミングは難しく感じるのではないかと思う。

■コメント

E田さんは、カリフォルニアドリーミングに登りたい。Kumaちゃんは、花崗岩の岩場なので行ってみたい。タナミーとしても花崗岩の岩場ということと、遠征が楽しいということ、行けるチャンスがあるなら行くべきだということで、3人で御在所に行くことになった。

5/3夜から5/4明け方にかけて大雨の予報が出ていたので、5/3の日中に岩場の近くの藤内小屋に泊まり、5/4は岩場の濡れが乾くのを待ちつつ、登攀することになった。

山小屋泊は、タナミーにとって西穂高山荘以来の2回目。藤内小屋はそんなに大きくはないからなのかどうか、他の小屋の経験がないのでよくわからないが、かなり面白かった。

ご主人一家のほかに小屋番として冬季閉鎖中の小屋からきているスタッフが4,5人いて、夜な夜な宴会が開かれていたのだ。素泊まり客用の談話室で夕方にならない時間から軽く呑み始めて、その日のお客の具合ではギターまで使って歌い出すことになっているようだ。

「どこ登りに来たの?」

とクライミングガイドもしている方から聞かれ、”中尾根バットレスと中尾根です”と答えると。

「じゃあ、明日中尾根バットレスに行ったほうがいいよ。あっちのほうが日当たりいいし、乾くのが早い。」

なんとなしに、”中尾根”を登り、次に”中尾根バットレスのカリフォルニアドリーミング”となっていた。結果から言えばアドバイス通りにして正解だった。バットレスは午前の早い時間にはすっかり乾いていたし、一日風に吹かれて乾燥した中尾根はクラックの中も濡れていなかった。

お酒がすすんで、みなさますっかり酔いが回ってくると

「にいちゃん、ギター弾けるの?」

とタナミーは聞かれたので”弾けます”と答えたところ、ギターを弾く羽目になった。じつに10年ぶり、、、。Cメジャーコードがまともに響かない(開放弦の音がうまく鳴らない)くらいに錆び付いたテクニックで、セカンドギターとして5,6曲弾きました。

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22:30ごろに談話室でうたた寝する人が出てきたところで、宴会はお開きに。

5/4の朝は岩が乾くのを待つために遅めの出発。カリフォルニアドリーミングに思いの外時間がかかったので19時近くに藤内小屋に戻ることになった。小屋番の人たちに心配させてしまった。この日も談話室で宴会が開かれていて、夕食を食べた後に途中参加したが、僕ら以外の泊まり客は21時前には眠りに入ったので、ギターは無しになった(ふー、無くてよかったぜぇ)。

5/5の朝、小屋の玄関先で出発準備をしていたら地元クライマーさんが上がってきて、どこに登るのかと聞かれたら、同じ中尾根だった。アプローチのときに後ろについて行ってもよいとなったので、そのパーティと別れるまでは迷い無く行けた。地元の人から聞くアドバイス・情報はやはり役に立つ。

5/5の中尾根を登攀中に一の壁や前尾根に取り付くクライマーの様子を見ていたが、フリークライマーという印象はなかった。御在所はやっぱりアルパインのゲレンデだった。

遠征に行くときの楽しみの一つは、その土地の名物を食べること。三重県にある御在所山あたりでは、トンテキが名物だったので、帰りの御在所SAで食べた。うんまかった!

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トンテキ定食@御在所SA


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