谷川連邦 阿能川岳 本谷左俣

大林(記録)

阿能川岳と言えば、谷川岳南面の残雪期に踏まれる山である。故に、遡行後のヤブコギが予想されるも、本谷巡りだと思い直し単独で出掛けた。最終水上行で、駅ビバーク。翌朝、水上と赤谷を結ぶ県道を登っていく。やがて、高速をくぐった所が阿能川本谷だ。すぐ上に谷川岳PAが見える。
右岸の林道を進むと、やがて砂防ダム。右の斜面を巻き再び林道へ。本谷の二俣まで古い山道が通っているらしいが、遡るにつれ荒れてくる。面倒くさいので、シューズに履き替え沢筋を行く。左に何本か枝沢を見送り、二俣着。ここより左俣へ。
小滝を何本か越えていくと、伏流有り。そして、また小滝の連続である。と言っても、快適なフェースの小滝ではなく、ヌルヌルとコケむした滝。この沢は規模も小さく、岩がヌルヌルとして、まるで奥多摩の沢のようだ。現によく滑ってすねを打った。
そして、唯一の滝、二段15m。ホールドなくヌルヌル、右より高巻く。再び二段5mも右より巻く。やがて、沢幅も狭くなり両側は高い笹におおわれてきた。そして、ルンゼを忠実につめていくと、いつのまにか源頭はなくなり、とうとうヤブコギ地帯に突入。稜線目指し笹をかき分けて進む。
やっとこさで、木で密集された平らな所に出る。ここが稜線だろう。登山道はどこ?あるわけない。稜線の向こう側がヤブでおおわれて見えない。かすかな甘い希望をたたれ、尾根を北へさらに一番高い所を目指し進む。この辺がもう頂上だろうと笹をかき分けて探すと、ふと前の木にかかっている阿能川岳の標識!木の手前、笹をかき分けてみると、ひっそりと隠れた三角点。ヤブの隙間からは、谷川岳南面が見渡せる。いい眺めだ。

しかし、いよいよ下降が待っている。猛烈なヤブコギをしながらも稜線をはずさぬよう南下して進む。笹は良いが石楠花の枝はかたく、それが見えなくてすねをよくぶつけるのだ。格闘の末、ようやく鍋クウシ山くらいまでくると、道もはっきりしてくる。赤ペンキなどもあって、やれやれだ。そして、赤谷越までくると、なにやらキーキーうるさい。なんとすぐ下の斜面にはサルの群れではないか。そういや、行きの道中、村の看板にサルの被害どうたらと書いていた覚えがある。サルも勘弁してくれ。サルの群れを尻目に県道まで出て、駅を目指し、秋の夕暮れをのんびり歩いて下る。ちょうど一周する感じになる。

上越の小さい沢ではあったが、あのヤブコギがあったため、違う意味で印象に残る山行であった。

<コースタイム>
JR水上駅6:05 ~ 阿能川本谷二俣8:05 ~ 阿能川岳11:13―11:30 ~ 赤谷越15:35 ~ JR水上駅17:10


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