鹿島槍ヶ岳 東尾根~赤岩尾根

L:曽山・斉藤(記録)

3/21 《晴れのち雨》 大谷原7:10-一の沢の頭10:30-二の沢の頭手前11:45

車は大谷原まで入れる。テントを張って仮眠している間に3パーティー通過していった。東尾根への取り付きには赤布が付いている。雪は締まっておりとても3月とは思えないほどの陽気で快調に歩いていくと30分前に出発した大学生3人組、さらに一の沢の頭手前で旧知の好山会パーティーに追いついた。ここからラッセル交代と思った矢先、曽山さんの足がつってしまい結局ほとんど戦力になれなかった。11:45 二の沢の頭手前に幕営。他の3パーティーは二の沢の頭にて幕営。午後から雨が降り始め風も出てきた。
3/22 《雪》 二の沢の頭手前6:40-第1岩峰8:00/9:40-第2岩峰11:30-コル手前18:30

雨は止んだものの天気は下り坂。好山会・大学生・緑の順に第1岩峰を目指す。残りの1パーティーは昨夜の強風でテントのポールが折れてしまった為かそのまま降りてしまった。第1岩峰は雪壁。3番手ともなるとしっかりステップが出来ており階段登りで難なく通過したが大学生は怪しいコンテでモタモタしているので横から抜かせてもらった。問題は第2岩峰。核心はちょっと被っているチムニーの乗越で私は残置シュリンゲにしがみつきゴボウで通過した。腕がホキてしまうとかなり手強い。先行パーティーのセカンドはかなりてこずっている様で2時間以上格闘した挙句ザックを吊り上げてようやく通過。この渋滞待ちで核心を抜けた所で時間切れ18:00となりコルの手前に幕営。強風と降雪で朝起きるとテントは半分埋まっていた。
3/23 《吹雪》テン場7:20-北峰8:30-南峰10:00-冷池小屋12:00/12:45-高千穂平19:20

朝から視界はほとんどない状態。この先は天気が良ければ快適な雪稜らしいがそれどころではない。雪庇地帯なので慎重に進む。曽山さんの素晴らしいルートファインディングで無事に北峰着。縦走路に出てホッと一息。しかし相変わらず風が強く、休む雰囲気ではない為とりあえず冷池小屋まで進む。小屋には赤岩尾根をピストンしている3人組がいた。赤岩尾根への分岐は昨日からの降雪でいつ雪崩てもおかしくない状態になっている。万が一に備えてザイルで確保しつつ尾根を下降していると先ほど小屋で会った3人が夏道をノーザイルでトラバースしていた。結果的には雪崩なかったから良かったが恐ろしや。赤岩尾根上部は腰までのラッセルでうんざり。ここでワカンに履き替えたのが裏目に出た。クラストした斜面に雪がついている状態で足を滑らせ西沢側に百数メートル滑落してしまった。落ちた本人より曽山さんの方が焦ったらしい。ご心配をお掛けしてすみません。幸いかすり傷ひとつ負わずに済んだものの尾根からはかなり遠く、登り返すのは非常に辛い。またまた曽山さんの素晴らしいルートファインディングでトラバース気味にルートを取り少しの登りで無事、高千穂平手前の尾根に出たところで幕営。私のせいで吹雪の中しなくてもいい胸までのラッセルをさせてしまい本当に申し訳ございませんでした。

 

3/24 《曇》 高千穂平8:00-大谷原11:50

昨夜もかなり積雪がありプラス30センチという感じ。しかし昨日よりは視界が良い。振り返ると稜線から赤岩尾根に懸垂下降中の好山会パーティーが見えた。高千穂平からは所々急斜面があり昨日の反省から慎重に下る。しばらく行くと7人パーティーに追いついた。なにやら携帯で連絡をしている様子。聞いてみるとガイドが滑落しヘリを待っているとの事。協力を申し出てツアー客のうち初級者2名の下山をサポートする事となった。正直言うと少し休みたい気分だったがそれどころではなくなってしまった。脚前がわからない人を無事下山させるのは気を使う。西俣出合まで来た所でようやく休憩。改めて話を聞いてみると滑落したのはガイドの堀田氏で
一度止まった時助けに行ったが間に合わず、さらに転落してしまい応答もなかったからたぶんダメだろうということだった。私自身も昨日滑落しているので他人事とは思えずとても残念に思うと同時に自分の悪運の強さに感謝しました。

今回はリーダーの曽山さんのおかげで何とか無事下山できましたが冬山の厳しさを改めて思い知らされた山行でした。赤岩尾根で滑落死された堀田氏のご冥福をお祈りいたします。


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