涸沢岳西尾根、18時間かけて蒲田富士を往復

■日時 12月7日
■場所 涸沢岳西尾根
■目的 冬季アルパイン
■メンバー ヨネ
■タイムテーブル
12/7
02:00 新穂高温泉
04:30 白出沢
06:30 1900m付近
09:30 2400mテン場
13:00 蒲田富士
14:30 2400mテン場
18:30 白出沢
20:30 新穂高温泉

日本アルプスの中で技術、体力、そして総合力が最も要求されるルートはどこか。人により意見はあるだろうが、西穂高~槍ヶ岳の厳冬季縦走はその一つといえる。いつかはこのルートをたどりたいと思いつつも、日数、体力、ルートなどからなかなか手が出ない。とりえあえず部分的なルート、エスケープルートをたどるべく、横尾尾根~槍ヶ岳、西穂高西尾根~西尾根をこなしている。今回は西穂~槍ヶ岳中間地点における唯一の安全なエスケープといえる涸沢岳西尾根をたどってきた。

時間が取れないために今回も日帰りである。トレースがないのを念頭におき、涸沢岳を目標にする。

時間は深夜2時、新穂高温泉を出発する。週中の天気はいまいちであったが、土~月と天気が回復基調にある。道に雪もほとんどないし足取りも軽く、すたすた歩いていたところ、いきなりスコーン!とすべって転ぶ。降った雪が解けてさらに夜中になって冷えて水氷。その後は慎重に足を進める。

穂高平小屋までは5 cmほどの雪しか積もっていない。しかしここからはおよそ10 cm程度積もっている???明らかに新雪であり解けた形跡があまりない。天気予報ではここ2,3日降っていなかったはずなのだが、、、

白出沢を渡りすぐに尾根に取り付く。雪はほとんどかぶっていなく、激激激藪登り!!!雪がしっかり積もれば埋もれるのだろうが、すずたけの軍隊はまるで進入禁止といわんばかりにぶすぶぶさしてくる。11月の記録などを見ていると、藪漕ぎつらいと記述があったが、12月でもまだまだ絶好調のようで、顔、腕、足を刺してくる。真正面から取り組まないように斜め上によけながら進むのでルートが面倒くさい。

2時間ほどかけて藪漕ぎを抜けると尾根も安定して、雪もある程度積もり順調に足を運ぶ。西穂高西尾根と同じでこのくらいの高度は雪がスカスカということもなく、足をがんばって上げるような急登でもなく、心穏やかに周りの景色を見ながら登っていく。空もずいぶん明るくなってきた。曇りの予報であり、低い曇天だと気がそがれそうであったが、高曇りであり稜線もしっかり見える。

9:30には2400m付近のテン場につく。ただしGPSをみると2365mと出ていて少々低い。帰りも確認したがやはり2365mと出ている。しかしこの上部には結果としてよさそうな、例えば10張りも張れるスペースはなかった。雪が積もるとまた変わるのだろうか、、、

コンビニで夜中にかったおにぎりはすでにα化している。ペースが良いのですこしゆっくりすわって小休止する。トレースがなかったものの1500mの白出沢とりつきから900m上がるのに4時間。同じペースであれば12時くらいには涸沢岳に到着だ!ここからは藪もあまりうるさくないし絶好調!、、、とおもっていた時期がありました。

このテン場から突然急登になる。さらにラッセルレベルが上がる。パンパカパーン、ラッセルレベルが3上がりました!これまではふくらはぎ程度がひざ下基本の上に場所によっては腰下ラッセルになる。足を上げる、足場を作るのだが、雪がまとまらずまったく上に進まない。時間ばかり過ぎていく。それでもじりじり進みようやく2600mのJPにはいる。

時間はすでに12時近い。一見するとなんてことないルートに見えたのだが進み始めてヒヤリ、ここからがまた絶妙。とくに蒲田富士直下の岩稜だ。雪さえつけばなんてことない。しかし今は岩稜だけであるのでアイゼンとピッケルをひっかけながらソロリソロリと進むしかない。はずれたら白出沢まで落ちちゃう???

ようやく蒲田富士を望む有名な両雪庇の地点にたどり着く。

この付近も太ももから腰ラッセルでありなかなか進まない。時間切れなので、雪庇部分だけ往復して戻ることにする。まだ冬はじめであり、雪庇はそれほど発達していない。基本的には滝谷側がやばい感じである。15mくらいだけ滝谷側が安定しているようだが、ここも白出側ぎりぎりで進むほうが良い感じがする。ただしこれは雪の付き具合により変わるのだろう。

さて戻る準備をする。ちょうど日が差してきたので写真を撮っておく。

まずは奥穂方面

北穂・槍ヶ岳方面

そしてなだらかな稜線の中でひときわ威容を示す滝谷。ここを冬行くのはなかなかしびれそうだ。

13時半から戻りに入る。2400mテン場まではトレースありの下りでありわずか1時間で到着。1900m付近までも調子は良かったのだが、最後の最後に藪の中でトレースを見失ってしまう。ええい、ままよ、あとは下るのみと進む。しかし藪地獄、暗くなりで、ストックをいつの間にか藪の中でなくくし心も折れ、ようやく白出沢出合にたどり着いたのは18時半過ぎ、登りと同じ時間がかかったよ!!!これがほんとうの蛇足というものであろう。

新穂高への道であった登山者は奥丸山からの滝谷偵察をしてきたとのこと。こちらも腰ラッセルということだった。

この時期は雪はあるが登山者は少ないためにラッセル天国であり、また岩稜も楽しめるおすすめの時期であることが分かった。
エスケープルートも確認できたから次はいよいよ厳冬期ジャンダルム!?


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