谷川岳~俎嵓山稜~小出俣山~阿能川岳~仏岩峠

逢沢(記録)・斎藤

雪訓の後などに、湯テルメからみた残雪の俎嵓の稜線は魅力的だった。いつかあの稜線上を歩いてみたいとずっと考えていた。今回、とうとうその機会をえることができた。天気にも恵まれ痛快な山行だった。いままでの数多くの山行の中で、特に思い出深いものの一つとなった。

当初は、今回の逆コースで、3月の最終週を予定していたが、天候の都合上、4月中旬にのびてしまった。このため、おそらく標高の低い仏岩峠から阿能川岳までの尾根上でヤブが出ている可能性があり、最初からヤブをこぐより、谷川岳からまわって、最後の阿能川岳でヤブが出ているようだったら、阿能川岳の本谷を下ればいいと思い(登山体系には残雪期に本谷から登れると記述があった)、今回のコースをとることにした。これには、前年の12月中旬に、足拍子岳から土樽駅に直接のびる尾根を下ったときの結構なヤブこぎが記憶に残っていたから(?)だ。

14日 車を土合駅において、6:30のロープウエーで出発。ロープウエーの終点発6:45。視界がよく、遠くの山々がよく見えた。今回の予定しているコースも一望できた。谷川本谷のコルなどは、手に取るように間近に見えた。雪面はクラストしていて、歩きやすかった。

谷川岳頂上着8:50。頂上からオジカ沢の頭までは部分的に夏路が出ていた。オジカ沢の頭の避難小屋着9:40。これからいよいよ俎嵓山稜にはいる。俎嵓には雪がほとんどなかった。ただ。不明瞭な踏み後もあり、また部分的な残雪をたどることができた。川棚の頭下のコル(川棚の頭手前あるいは先のコルだったか失念)着11:10。ここまで雪はうっすら残っている程度だったが、ブッシュやササの丈が低く、非常に歩きやすかった。途中大きなカモシカに先導してもらったりもした。

本谷の頭(1696m)をすぎると、残雪が多くなり谷川のコル附近は特に豊富だった。谷川のコル着12:40。このあたりのブナ林での泊まりは快適そうだったが、時間があったので、先に進むことにした。ここで仏岩峠から来た3人パーティーとすれちがった。仏岩峠から阿能川までは残雪があり、部分的にヤブこぎがあるだけとのことで安心する。

小出俣山の肩着13:20。コルからここまでは相変わらず残雪が豊富だ。ここから小出俣山頂まで荷物を置いて往復した。山頂まで20分ほど。往復後、13:45に阿能川へ向かって出発。ここで、同じく仏岩峠から来た2人パーティーとすれちがう。山頂直下のコル着14:35。ここのブナ林にテントをはる。残雪は豊富で快適だった。また、小出俣山や阿能川岳方面から見た、谷川南面の岩場は新鮮そのものだった。

15日 テン場発5:30無風快晴。日頃の行いに感謝!テン場からいきなり急登をすると、阿能川岳だった。山頂着5:50。阿能川岳の左俣は傾斜も緩く、木立も生えており、下りやすそうだった。ただ、尾根には豊富な残雪があるので、尾根通し下ることにする。三岩岳を越えて、天子岩に行く途中あたりで、尾根が痩せてくると少し藪こぎとなった。ただ。踏み後もところどころにあり、ほとんど気に掛からない程度だった。

天子岩着7:20。天子岩を過ぎ、地形が平坦になると、残雪も堰堤状もあり、これを伝って行くことができた。峠が近くなると、雪もなくなり、落ち葉のたまった踏み後を辿った。峠を経由して、仏岩トンネル横の駐車場に8:40に着いた。車が土合駅にあるので、駐車場の公衆電話でタクシーをよび、水上駅に出て、そこから出発するバスにドンぴしゃで乗り換えて、土合駅で下りた。土合周辺は春の匂いで満ちあふれていた。

  • 時期としては、3月の最終の週末か、4月の第一週がよいと思います。それより早いと、冬山的な山行になるように思います。
  • テン場は、谷川のコルから阿能川岳間なら、どこでも張れ、快適だと思います。オジカ沢の頭から本谷の頭までは、尾根が比較的やせており、赤谷川側の斜面も傾斜があるので、快適さは望めなそうだと思います。また、時期が遅いと雪が少ないので、水に困りそうです。
  • 岳人の記録*(カラー写真入り)には、98年4月3日~5日に仏岩峠から谷川岳の山行特集がありますが、俎嵓山稜ではスリップに注意とあり、雪があると多少条件がかわるのでしょうか。特に谷川本谷側に雪庇が出ているときや、視界が悪いときは注意を要すると思う。
  • 岳人1999年4月号(No.622):22-25.春からの贈り物をもらいに 谷川連峰小出俣山~俎嵓山稜 (←カラー写真入りの特集、写真がきれい)
  • その他の記録:岳人199?年?月号:29-31.谷川岳国境稜線に立つ 北と南からの雪稜(仏岩峠~阿能川岳~俎嵓山稜~オジカ沢の頭)登山体系など

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