鹿島槍ヶ岳 天狗尾根

■日時 4月20日(金)〜21日(土)

■場所 鹿島槍ヶ岳 天狗尾根

■目的 アルパインクライミング

■メンバー Yone

■記録

鹿島槍とは相性が良くない。5回鹿島槍を目指してた。一回目は縦走。10年以上前だ。この時には頂上を踏んだ。2回目は東尾根からアプローチした、この時はパートナーがけがをして敗退。3回目はゴールデンウィークだった、会山行で天狗尾根から目指したが渡渉ポイントを間違えて大ゴ沢に入ってしまい撤退。4回目は2017年3月に天狗尾根を目指すが大雪のため敗退。5回目は今年の3月、北壁を目指したが気分が乗らずになんとなく帰ってきた。

ゴールデンウィーク前に来年の北壁の戻り道だけでも確認すべく、天狗尾根の偵察に行く。ついでにトレーニングもかねて日帰りを目指す。軽量化をしたとして、大谷原~天狗の鼻が5時間、天狗の鼻~頂上が4時間、帰りは半分として4.5時間、よって合計が13.5時間となる。予備を3時間ほどとすると16.5時間だ。20時位には下に戻ってくることを考えると朝3時半に出ればよいことになる。ただし取水口付近の渡渉が暗いと厄介なので、朝4時に出ることにした。

20日朝4時に大谷原を出る。今回はAmazonで購入したレインブーツが初登場。一回目の渡渉はそれほど深くないが、残念ながらチャックから水がしみこむ。止水ジッパーであるものの、水に入るとまた違うらしい。ただし、靴には水はしみこまなかった。5時に取水塔につく。ほんのり明けていて渡渉ポイントが探しやすい。ここは増水していて、ひざ上まで深さがある。しょうがないので靴を脱いで渡渉。

荒沢は右岸→左岸は高巻をする。次のポイントは飛び石で渡れる。開けた場所に出る、前回はここからルンゼを上った。このルンゼはあまり良くなかったので今回はもう少し荒沢を詰める。もう一回渡渉して右岸に出ると雪が堆積していて簡単に回り込めた。ここには赤布があり、しかも登りやすそうな尾根。どうやらここが正しい取りつきのようである。

尾根に出るまでは雪が全くない。カタクリの生えている中をひたすら藪漕ぎ&木登り。気温もぐんぐん上昇するので汗まみれ、へろへろだ。尾根に出たのが7時40分。そのまま足をすすめていく。

雪が重く思ったより時間がかかっていること、明日の天気も良いことから尾根上に余計な荷物を置いていくことにする。登攀具を身に着け、ツェルト、水・食料のみ持つ。

第一クーロワールはあちらこちらにシュルンドが空いている。残っている雪もグズグズであり「クーロワールで全層雪崩したらどうなるだろう」不安がよぎるが慎重に足を進める。最後のくさったキノコ雪を処理してやせ尾根に腹ばいになりながら這い上がる。ずいぶん時間がかかった。

やせ尾根はまだ雪が十分に残っているので歩きやすい。第一クーロワールで使った時間を取り戻そうと飛ばす。しかしそれも第二クーロワールを見るまでであった。第二クーロワールは下が微妙に切れている。クーロワールの雪壁に乗り込むにも飛びつくしかない。さらに上側は第一よりも腐っている。まずは取りつき。雪は思ったよりしまったいるで打ち込んだバイルがよく効く。そのまま体を持ち上げて、「雪がきれるなよ」と祈りつつ雪面に乗り込む。クーロワール前半は雪壁とシュルンド。天狗の鼻直下の雪面に入り込むところは、雪がつながっていなかったので右側から回り込む。

天狗の鼻直下の雪面はまっすぐ上ると、シュルンドが待ち受ける。さけるようにトラバース。足を進めるたびに足元で10cmほどの表層雪崩が起きる。なんとかトラバース終えて、天狗の鼻まで直登。

天狗の鼻に着いたのは12時40分であった。大谷原から結局8時間以上かかってしまった・・・

さてどうするか。ここまでは一切トレースがないので、この上もないと考えるべきである。時間としては5時間程度は見ておく必要がある。天狗の鼻から下はルートはわかりやすいので暗くなっても行動できる。また明日の天気も良いことが予想されるのでそのまま足を進める。

天狗の鼻から岩峰までは順調。雪壁に足跡を規則正しく刻んでいく。シュルンドもないためにスピードが天狗の鼻までと比べて明らか早くなっている。岩峰は3級程度であり慎重に手と足を進めていけば特に問題はない。ここまでの小さなキノコ雪に比べれば岩は固いから気分が楽だ。

荒沢の頭を通り過ぎ18時に鹿島槍の頂上に着いた。朝4時から14時間の行動時間、6回目にしてようやく頂上に足跡を残すことができた。

さて日帰りの予定であるので感動もひとしおに降りる準備を始める。岩峰では2回の懸垂が必要であった。支点が弱いので慎重に体を下していく。予想と違いそこから天狗の鼻までが時間がかかった。急斜面でありバックステップでゆっくりと足を進めるしなったこと、溶けた雪が固まり、行きにつけたトレースといまいち足が合わなかったためである。天狗の鼻に着いたのが21時、デポ地点に着いたのが23時であった。

しかしここで問題が発生、朝につけたトレースが溶けてしまい、足跡が判別できない。ところどころに残っていた足跡を尾根上で追っていたのだが、完全に消えてしまった。それでも尾根沿いに降りていったのだが、明らか方向がおかしい。左の沢に引き込まれている。しょうがないのでいったん足跡があったところまで100mほどのぼり返しビバーク。今日の行動時間は合計20時間であった。

翌朝明るくなってから見てみると30mほど下に尾根が分岐していた。おそらく1)の尾根に迷い込んだと思われる。

明るくなってからならば何の迷いもない。大谷原に降りたのは9時くらいであった。


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  1. 昔、1973年3月に登ったことが懐かしい。
    下に降りたら小屋(おばば健在)で、「天狗尾根で大量遭難」報道あり。