谷川岳 幽ノ沢 中央壁 左フェースルート

東出、天津、逢沢(記)
今年は、例年になく残雪が多い。一ノ倉沢は湯桧曽川との出合いまで雪渓が続いているようだ。そこから、20分も歩くと幽の沢出合いについた。僕にとって、幽の沢は初見参である。ここでアイゼンをつけて、豊富な残雪をつたって沢通しに中央壁基部まで登った。雪渓は、所々氷化していて、重いのを我慢してアイゼンを持ってきて正解だった。30分ほどで基部のシュルンドに到着。シュルンドは大きく開いているが、右フェースの取付き付近が渡れそうである。ザイルで確保して対岸に飛び移る。なかなかスリリングだった。確かに、アプローチは楽だが、雪渓の状態が悪くなれば取り付きが厄介であろう。無事3人が渡り、大きく左にトラバースしてT1の取付きに出た。

ここから、必死にピンを探しながらT1に登る。ピッチの切り方を間違え3P出す。聞いていたとおり支点は少なく、ハーケンを打つリスさえもないくらい、岩は磨かれていた。T1から東出さんリード。ルート図通り左上するバンドを2Pたどる。ここの2P目は、けっこう(かなり)脆かった。ハング横の垂壁でビレイ。ビレイ点は、寂しいのがそれなりにある。次は、いよいよZピッチである。ビレイ点上のフェース(モロモロ)をこわごわ3メートル程登って、右に5メートルほどトラバースし、ハング上のカンテを今にもはがれそうなフレークをつかみながら越え(ここが?)、細かいフェースを登ると、ビレイ点がある。このピッチカンテを越えるまでがもろくていやらしい。ほんとにZ型になるかと思ったが、どっちかというとNに近かったかな。天気は下り坂で、ガスや風が出てきた。せめてスカイラインリッジに出るまでは雨よ待ってくれと念じつつ、左上ランぺ2P登りT3へ。確かに、ピンは少なく、途中のビレイ点は、ごめんなさい程度で、ちょと落ちられない。ほんとに慎重を要するところだ。3人なのでどうしても時間かかる。さらにまかり間違って、Mが新品のザイルを持ってきたのでキンクしまくった。

T3からはルートが判然としなかった。左にトラバースぎみに30m程のぼる。途中小さなハングを左からまきビレイ。けっこうピンがあったので、左方カンテと合流する辺だう。さらに1Pで外傾テラス。なかなか気持ちの良いところだ。ここから上に1P、さらに1P、左にけっこうな笹を漕いでトラバースし、スカイラインリッジに出た。恐らくもう少し下から左上しスカイラインリッジに出るのだろうと思う。リッジに出ると示し合わせたようにパラパラきた。さらに2Pガスの中どこかを登りザイルを解いた。壁の中から見た中央壁の頭は尖っていて、さぞかしいい所だろうと思っていたが、結局どこだかわからなかった。

さあヤッと終わったと思ったら、そうは行かなかった。堅炭尾根に出る直下には急な雪壁になっていてガスで上が見えない。ここで滑ったら、今日登ったぶんは、一瞬にして台無しになってしまうので再びザイルを出して、慎重に横の草付きを登り堅炭尾根に出た。取付きが7時すぎで堅炭尾根に出たのが5時だったので、ずいぶん時間がかかってしまった。日没までに下るべく途中から、東出さんの素晴らしいルートファインディングで雪渓と草付きをつたって芝倉沢に出て豊富な雪渓をくだった。1時間半ほどで下り、延々とセンターまで歩いた。今年初の谷川は充実した山行だった。

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