荒川出合 3ルンゼ 夢のブライダルベール

東出(記録)、徳永
先週の一ノ倉(敗退)に続いて、今週も谷川に入ろうかと考えたが、週後半の天気が今一つで、ルンゼ攻略は気が進まず。今期はバーティカルアイスを登りこめてないこともあり、ヒマそうな徳永を誘ってブライダルベールの右氷柱を目指すこととした。京王線府中駅で10:00集合が、徳永がさっそく30分遅刻。交替で運転して夜叉神峠へ。
翌朝、いつもは寝飛ばす徳永が、なぜかちゃんと5:00に起床。林道は雪もなく、鷲ノ住山を下って出合いへ。先に2ルンゼ先の河原へ降りて準備をしていると、後からきた徳永は小生の踏跡を見失ってそのまま先へ行ってしまった。彼はどこが2ルンゼでどこが3ルンゼかも把握していないようだ(普通は地図だのルート図だの見てくるものだが)。3ルンゼ出合で待つこと30分以上、行きすぎたと分かった徳永が戻ってきた。どこまで行っていたのだろう。
出合いから見た限りでは、ブライダルベールは登れそうだ。というわけで早速アプローチ開始。近づいてみると左の氷柱が辛うじてつながっているが細い。右はハング下にひょろいつららがぶら下がっているだけ。ブライダルベールというより、末広がりでないフンドシといったところ。とりあえず右の立っている部分に取付く。水っぽい氷だ。左氷柱の下で徳永をビレイ。うーむ。やはり細い。前に来たのも同じ頃だったが、もっと幅広だったような気がする。しかも薄い。最も厚い部分は肩幅程度で厚さ50cm程度。この1ライン以外は2,30cm程度の厚みしかない。叩けば割れるだろう。おまけに水氷でハング上からシャワー状態である。徳永を適当にビレイしつつ迷う。2ピッチ目、とりあえず表側に回りこんでみる。脆い水氷かとおもいきや、つららの間隙は、水氷ながらも密につながっている。というわけで、「まあなんとか行けるだろう」と、徳永にビレイをお願いし、基部に1本打って登攀開始。
シャワークライムで、メガネが使い物にならず。仕方ないので乱視のひどい裸眼で登る。氷柱の真下のラインをどこかのパーティーが登ってきたが、無視して氷を蹴落とす。人が登っている真下に取付くのが悪い。アックス引っ掛けで登るが、氷の厚い部分をすこしでも外すと「ボワン」とそのあたりの氷全体がにぶい音を立てて振動する。体重で氷柱がブチ折れないことを祈る。そのまま7,8m登ってランニングを取る。傾斜があるのは出だしだけなので、薄い部分を登ってしまえば後は容易である。氷柱上に安定したポイントがあったのでそこでビレイ。徳永が氷柱をブチ壊さないことを祈る。徳永は氷柱基部でもがいていたが、やはりメガネが使えず、いきなりユマーリング態勢に入る。ここは頑張って登って欲しかったのだが。
下から来た熟年パーティーは我々と違ってトップもセカンドも登れる。というわけで、先に3ピッチで抜けて行った。3ピッチ目、容易なナメ氷を上の潅木まで。しかし徳永がなかなか来ない。上からは雨のように水飛沫が降ってくる。身体中べしょべしょで不快極まる。最終ピッチ、結構立っている。身体が冷えて動きが鈍る。セカンド徳永、これまたいくら待っても来ない。おまけに日が暮れつつある。途中まで頑張ったが、腕ホキでユマールに切り替え。恐ろしく時間がかかる。結局、徳永到着が6:30。とっぷりと暮れてしまった。問題はこの後である。前回池永さんと来たときも下山ルートを間違えて、2ルンゼのほうまで回って降りたので正しい下山ルートが
分からない。おまけに出合いに残置したザックに懐電を置き忘れた。徳永は懐電を持っていたが、2人で1個では動きにくい。このままビバーグしようかと思ったが、しばらく下山ルートを探すことにした。なにせ懐電1個なので、20mほど間隔を開けて少しずつコンテで移動。2ルンゼまで回ったときは、ほとんどロープを出さなかったので、またこちらから下降したほうが降りやすいだろうと、トラバースする。が、今一つルート不明瞭で、結局お寒となった。如何せん、まさかビバーグするとは思ってもみなかったので空身である。火でも起すかと、枯れ木を集めたものの火種が無い。行動食の包み紙や、レシートだのを寄せ集めて何とか火を炊いた。小生はタバコを吸わない。徳永が喫煙家でなかったら、火もなくて濡れた身体で「おお寒う~」となっていただろう。おまけに小雪までちらついてきた。そういうわけで、あたりの枯れ木だの、生木だのを燃やしまくって何とか朝までもたせる。火の番で一睡もできなかったが、手袋も乾いて、これはこれで快適なお寒であった。
翌朝は2ルンゼ上部までトラバースして尾根伝いに下降。トラバー-ス途中で徳永がスリップし、あわや2ルンゼの藻屑になりかける。さらに2ルンゼ下部で、沢をトラバースした直後に小規模な新雪雪崩が発生し、出合いまでスッ飛ぶところだった。2ルンゼ侮れじ。結局そのまま下山することにし、鷲ノ住山を登りに入るが、延々と続く登りには、さすがに閉口した。昔、入会したての春に、吊尾根から北岳をピストンしたことがあった。その時も、地吹雪とホワイトアウトで小屋ビバーグし、頂上を踏まずに駆け下りてきたものの、この登りでホキて日が暮れ、連チャンでビバーグこいた。鷲ノ住山は鍛えてくれる。もっと鍛えられたのは徳永で、バテまくって3時間(!)遅れで夜叉神に到着。おかげで車で一眠りすることができた。こういう山行になったのも、単に実力が無いためだなあと実感。
1:30 夜叉神
6:00 発
9:00 発電所→徳永はぐれる
10:00 3ルンゼ出合い
10:40 取付
18:30 終了
21:00 ビバーグ
6:00 発
10:00 2ルンゼ左岸の尾根を下降して出合いへ。
10:30 発
14:20 夜叉神着(東出)
17:30 徳永着
21:00 府中IC

投稿する

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)