北岳バットレス ピラミッドフェース

東出(記録)、徳永
木曜晩に集合し、バットレスへ向かう。府中ICに乗る頃にはかなり雨が降っていたが、山梨では星空が見えている。期待できそうだ。広河原で一杯飲んで就寝。朝方、雨がじゃかじゃか降ってきてガックリする。今年は本チャンに行ったときに限って、決まって雨にやられている。谷川でも土日続けて登れた試しがない。またか…と思うとショックがでかい。
「今日の登はんはダメだなあ」と予報を聞きながらゴロゴロ寝ていると、昼から晴れ間との予報。外は雨も上がっており、さっそく準備して二股へ向かう。平日だというのに、下山客がぞろぞろ降りてくる。不思議なり。二股で荷をデポし取り付きへ。ピラミッドフェースはガスに巻かれて見えない。取り付きで岩の状態を見るが、もともと湿っているのと、草付きからのしたたりで悪い。それでも「晴れれば乾くか~」と楽観視しして取り付く。既に13時近い。つるべで5ピッチほどザイルを伸ばす。ところどころ悪いが、いつでも四尾根に逃げれると思うと気が楽だ。「悪いなあ」と思う一方で、ついつい「も、もう1ピッチ登ってみようか」などとおもってしまう。ハングの上の垂直のクラックはスメアが効かず、これまた悪い。おまけにピンが遠い。ナチプロを省いたのが悔やまれる。シュリンゲをコブにして噛まして突破。コワい。徳永はかなり以前から既に泣きが入っているが、スリップひとつしないでついてきているのに感心する。来年の今頃はかなり登れるようになっているだろう。最後から2ピッチ目、細かなフェースからまたもやクラック。フェースは乾いていて問題なかったものの、クラックは手ズル・足ズルでピンチ。「ナチプロが欲しい~」とぼやきつつ、クラックにハンマーを噛ましてなんとか逃げ切る。ハンマーが噛ませなかったらヤバイところだ。最終ピッチは徳永リード。ランニングの取り方が不味くてロープが上がらず。既に日も暮れており、思わずため息が出る。結局、4尾根に抜けたのが19:30。かなり時間がかかった。一服してから懸垂を繰り返して取り付きに戻ったのが23:00。徳永は気分がハイ状態なのか、空を見上げて「ヒガシデさん、あれ、鯨雲ですよね」などという。空一面曇っているのだが…。荷物を回収して御池に1:00着。飯食って酒飲んで15:00。明日登るのはダメだなと思いつつ就寝。

翌日、テントでごろごろ寝ていると、9:00頃、広島・天津・内田の後半パーティーが登ってきた。徳永も登る気がないだろうから、縦走路から頂上踏んで、交信してから先に下山するよと話ていると、それまでテントで寝ていた徳永がのっそりと起きてきて、縦走するくらいなら登はんする方がいいなどとのたまう。結局全員で取り付きへ向かう。すでに10:30。広島・天津で下部フランケ、残りの我々はC沢大滝から4尾根へ。下部岩壁でハング下から右の草付きに回るところを、時間が無いため、4尾根めがけて無理矢理左の悪い草付きへトラバースしたのが失敗だった。えらく手間取り、4尾根に入った頃には時間切れ。とりあえず交信しようと、ザックを置いてふと上を見ると、広島が交信している。下部フランケに行っているはずが、なんでピラミッドフェースの、しかも右端にいるんだろう? 「すぐ下にいるよ」と声をかけると「ああどうも。僕ら下部フランケを詰めてみますよ」と。どうやら自分たちがどこにいるのか全く把握していないらしい。バットレスとはいえ、本チャンの経験がほとんど無いのだから、ルートファインディングができないのも無理ないか。結局我々とともにそこから懸垂してあえなく終了。東出・徳永は当日下山した(ちなみに残った3名は翌日取り付きまで行って、ロープをテントに忘れたことに気づき、取りに戻るなどするうちに各ルートが混み始め、時間と落石等の危険であえなく敗退。残念な結果となった)。

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