谷川岳 一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁 凹状岩壁

池永・有墨(記録)

曇り時々晴 一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁 凹状岩壁 前日の深夜の酒宴にも関わらず4:30起床。ゾンビの様に起き上がる。 前日のすき焼うどんやサンドイッチなど小保方さんの御馳走を頂き腹一杯で登山センターを出発。本日のルートは、 前日の疲れを考慮し烏帽子沢奥壁の中で一番楽そうな凹状岩壁とした。6:00に曽山・江原、池永・有墨の2パーティーで出合出発。 曽山代表がトップで行くが、えらくペースが速く私は遅れ気味になってしまった。 池永氏と「我々はOBでも曽山代表は現役」と感服する。7:00に中央稜取り付きに到着。 小休止後、登攀具を出してダイレクトカンテの曽山・江原パーティーと別れ、凹状の基部でアンザイレンし、8:00より登攀開始。

1P:(池永)中央カンテを登る後続パーティーにルートを教えて貰いトラバースからスラブを直上。 私は凹状2回、池永氏も中央カンテ1回と、この基部は1~2回登った経験があるのだが、遠い昔で記憶がはっきりしない。

2P:(有墨)草付き混じりのスラブを左上し 中央カンテに向かうしっかりしたボルト付きのテラスでピッチを切る。 このスラブは中央稜からの落石のルートになっている様でしばしば「ラック」の声と共にバラバラと落石が落ちてくる。

3P:(池永)中央カンテと別れ凹角の下までスラブを登る。 浮石が多くあり身体やザイルが触れるだけでパラパラ落石となる。

4P目:(有墨)凹角を直上する核心のピッチ。ここも浮石が多く、 ホールドをつかむとボロリと取れ、落ちない様に置き直す、という作業がしばしば発生する。 上部の方は昔はⅣ+だったが、直近のルートガイドではV-のグレードがついている。傾斜は急で脆い部分もあるが、 要所にしっかりとしたホールドと支点があり見失うことさえ無ければ問題無い。凹角の上の支点でピッチを切る。 昔このルートを登った時は最も登攀に自信を付けていた時で、この凹角の途中までランニングのみのコンテで登り、 1時間半で全ルートを登り切った。午前9時に衝立の頭で南稜に取り付くパーティーを見下ろし、 コップの登攀に向かう為にコップの広場へ懸垂下降したことを憶えている。 今回再び登ってみてコンテで登るのことはできないと思ったが、かといって昔は昔で落ちる気がせず登っていた感覚も思い出し、 それほど無謀だった訳ではなかったな、などと思い返した。

5P:(池永)凹角上を右上し、がれ場の様な凹角を乗越し、草付きのテラスへ。 ルートガイドの「ピナクル」に惑わされてルートファインディングに手間取る。池永氏が最後に凹角を登り切る頃、 過去2回このルートを登った時もここで私がビレイし、右手上方の凹角を空に向かって乗越すトップを見送ったことを思い出す。

6P:(有墨)草付きのテラスから上を目指すのだが、 ルートガイドの「ピナクル」がどれなのか判らないし、カンテを左上するとあるが何処をどう登れば良いのか? テラスの真上にピンが見えるのだが、登るべきフェースは真っ白でのっぺりとしておりとても登れそうも無い。 池永氏と壁全体を見るうちに、真上の岩壁の白い部分は、周りの破砕した小石の散乱と併せて考えて、 直近崩落したとしか思えないとの結論になった。更に右側を見てみると凹角状にピンが見えた。 2~3mトラバースしてみると意外に古いピンが連続しており途中フリーで苦しむところもあったが、淡々と登って行けた。 ルートガイドに「潅木と草付きの凹状部」と記されている部分迄登り詰め、潅木帯の最後でピッチを切る。

7P:(池永)Ⅳ+のクラックを登る。最後のピッチとしては気持ちよいフリークライミングの 後ほど無く終了点へ。12:00登攀終了。

終了点、衝立の頭の上部で昔話と近況など話してゆっくり小休止。3~4m程度の懸垂を含めて下り衝立の頭へ。 池永氏が他の衝立を登ったパーティーと話すと、凹状は新潟沖地震で崩落し登れないのでは?との反応だったとのこと。 6ピッチ目の崩落箇所に納得。北稜下降で待っていてくれた曽山・江原パーティーと合流。 秋晴れの中で衝立前沢から雪渓を下り16:00一の倉出会いへ。またすぐ戻って来れそうな感覚を持ちながら出会いを後にする。 2日間快晴が続いた最高の山行が終了した。 同行の皆さんお世話になりました。また宜しくお願いします。


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