谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩 ダイレクトカンテ

曽山・江原(記録)

一ノ倉沢に入るたびにテールリッジから見上げていた衝立岩の正面壁。 取り付きたいと思いつつも迫力に気おされて躊躇していたが、ようやく登ることができた。 ダイレクトカンテは衝立の入門ルートという扱いだが、前日、2ルンゼへのアプローチ途中、 池永さん、有墨さんとも口を揃えて「いいルートだよ~」と太鼓判を押してくれただけあり、充実した登攀だった。 特に4Pという短い間に人工を中心としながらもそれだけには終始せず、 フリーや高度感に満ち満ちたトラバースといった様々な要素が織り込まれている点が印象深かった。 ただ、意外に草付が多い点(テールリッジからのアプローチ~1P目と4P目以降のトラバース)は予想外だった。

 

9/3

曇り時々晴 一ノ倉沢 衝立岩ダイレクトカンテ 起床4:30(指導センター)。前日、2パーティーで2ルンゼ~aルンゼを登攀し(最終下山22時!)、 その後、有墨さん歓迎のすきやきの宴を張っていただけあって目覚め爽快という訳にはいかなかった。 が、手作りサンドイッチ、目玉焼き、宴会の残りのうどんといった登攀に似つかわしくないバラエティに富んだ朝食を詰め込み、 出合に向かった。出合出発、6:00。アプローチは凹状に向かう池永/有墨パーティーと一緒。

今年は残雪が多く、この時期でもヒョングリの滝は出ていない。一ノ沢の合流点付近からは雪渓通し。 テールリッジでは二日酔いの兆候を無視するように早いペースで登る。中央稜の基部到着、7:00。

登攀準備をしながらしばし休憩。 十数年振りにザイルを組んでいるはずの池永さんと有墨さんはつい最近まで一緒に登っていたような感じで、 曽山さんを含めた3人の会話が弾む。下から時折多久和さんのトザイコールがかかり、にぎやかだった。 我々のすぐ後を登ってきたパーティーもダイレクトカンテを登るようだが、先に登らせてもらうことにした。テールリッジ発、7:30。

取付きまで:中央稜の基部の一段下から草付の細いバンドを水平にトラバースする。 このバンド、草が茂っている上に、上部からスライドしてきた大きな草付が横断していたりして、あまり良くない。 バンドがヤブに突き当たったところで草付フェースを直上。このフェースは結構傾斜があり緊張する。フェースを上りきるとテラス。 ここの立派な懸垂支点から、右にトラバース気味の懸垂(高度差は10mほど)で取付きに至る。 取付きは懸垂中に見えるボルト2本が目立つが、そのすぐ左奥にペツル2本が打たれていた。登攀開始、8:00過ぎ。

1P:(江原)カタカナのコの字を書くようなピッチ。 ホールド、スタンスとも豊富で容易だが、草が多い。直上部分のフレークでヘビと出くわし、 大騒ぎをしてしまった。表情のない、灰色の目が怖かった。上部のトラバースは完全なバンド状で問題なし。
2P:(曽山)小さなハングを越えて直上、その後はカンテに沿って右上気味に登り、小さなテラスまで。 人工で40mの長いピッチ。ところどころ遠いピンもあるがそんな箇所には長いシュリンゲが残置されていて問題なし。 曽山さんの人工は相変わらず安定している。ピンの状態は噂に聞くほど悪くないと思ったが、練習不足で思うように進めず、 時間がかかってしまった。
3P:(江原)確保支点から直上、ハングで頭打ちになったらハング下を右にトラバース。 そのままカンテもトラバースで越えると確保支点。2P目に比べると見た目にも短く、噂どおりペツルも打ってあり、 比較的安心してリードできた。ようやく人工のリズムをつかめてきたが、それでも余計な力を使っているらしく、一度フィフィで休憩した。 ところどころホールド、スタンスがあるので(腕の疲れもあり)それらを積極的に使った。 カンテを越えるあたりは下から吹く風であぶみが舞い上がり、始末が悪かった。人工はフリーよりも疲れると思う。 カンテを越えると出合が見える。ここで初めて周囲を眺める余裕ができた。出合の人からも見えているのかなぁ~と思う。 余裕が出ると同時にひどく喉が渇いていることに気がついたが、ここはスタンスがなくアブミに乗ってビレイしているので ザックを下ろす余裕はなし。曽山さんも喉が渇いたと言いながら登ってきた。(その後、水は飲まずにタバコを吸っていたが…。)
4P:(江原)確保支点すぐ右のカンテを2、3ポイントの人工で水平に越える。 その後、ホールドの乏しいフェースをピンに導かれて右上。やはり人工の後のフリーは恐ろしく、A0しまくり(残置シュリンゲあり)、 ピンとりまくり、挙句の果てには短めにピッチを切ってしまった。 カンテを越える人工では比較的新しそうに見えたハーケンの首にギリギリと切れ目が入るの見て(聞いて)、 慌てて次のピンに飛び移った。支点で水分補給(うまかった)。
5P:(江原)引き続きフェースを右に進む。予想外に草付が多い。高度感はあるが、 行く手に終了点の大きな木が見えて心理的には楽。4P目に続き、妙にホールドが乏しく(スタンスはある)何箇所か緊張を強いられた。 木でピッチを切り、曽山さんを迎えた後、ヤブをトラバース(露岩まで直上後、岩沿いにトラバース)すると北稜のふみ跡に合流した。 終了、12:30。
下降中、空中懸垂の下で1時間ほど待ち、凹状を登攀した有墨/池永パーティーと合流。 3人の昔話を聞きながら出合に戻った。出合、16:00

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