錫杖岳 前衛壁 3ルンゼ

■日時 2021年02月20日(土)21日(日)

■場所  錫杖岳 前衛壁

■目的  アイスクライミング

■メンバー  タナミー(記)、会員外(1人)

■天候  晴れ

■記録

ご一緒した会員外の人とは、2年前からどこかアルパインに行きたいですね、と話ししていたけれども、先シーズンも機会を作れず、ようやく今年に実現しました。
お互いに初めてのところを、ということで錫杖岳。

1日目に、3ルンゼ+グラスホッパーの2つをつなげる贅沢な2ルートをメインに、2日目にどこかを登る予定で行ってきました。

▪️2/20 Sat. DAY1
04時起床のはずが、気づくと05時を回る大失態。とはいえ、ジェットボイルで湯を沸かしちゃんと朝ごはんを食べて、06時半に槍見館近くの駐車場を出発しました。トレースはバッチリありましたが、日が当たる登山道では足ズボを繰り返しながら、09時半にクリヤ岩舎に到着しました。ベースを設営して、3ルンゼに向かい、取り付きについたは11時になりました。

クリヤ谷の渡渉

前衛碧が現れる

新版アイスクライミングのピッチ分けを元に記録を記します。

・3ルンゼ1P、2P目
IV-(40m),III(30m)となっているが、雪に埋もれている緩傾斜面になっていたので、ギアを整えた上でロープを出さず、登りました。F1は見る影もなく埋もれていて、ももラッセルの繰り返し、F2は氷化した雪面に覆われてましたが、その脇の傾斜面も同様な氷化した雪面になっていて、そこを選んでダガーポジションで登りました。

取り付きから チリ雪崩が溜まって緩傾斜ができていた

F1は緩斜面をラッセル

F2はアックスクライミング

・3ルンゼ3P、4P目
IV(40m)”ルンゼ右側の氷を登る”、II+(30m)”氷化したチムニーのトンネルを抜ける”となっているが、ジャンケンで公平?に決まったリードのタナミーは、よく分からず2ピッチを繋いでしまったようです。
F3は厚さ5センチのベルグラが張り付いている程度で、3m近くの高さのうち下側1mは岩が露出している状態。アイススクリューが決められる厚みがないのは目に見えていたので、脇にあったクラックにカムををしっかり決めました。チリ雪崩で溜まった雪のおかげで端から回り込むようにF3上側2mの氷にアックスを打ち込みましたが、1度氷が割れてアックスがすっぽ抜ける、アイゼンを蹴り込む高さには、ほんとにうっすいアイスしかなく、2・3度アイゼンが抜けて足ブラをを体験しました。
F4もベルグラでしたが、一面をアイスが覆っていたので着実に登り、見つけた残置スリングがあるリングボルトにてリードを終了しました。が、リングボルトの1つは首が曲がり抜けそう、もう一つは雪に埋もれていて状態確認が困難だったので、ナッツを利用して補強した上でフォロービレイになりました。
このピッチの間、日当たり良好な時間帯だったらしく、太陽に照らされ暑かったし、何度もチリ雪崩を受けながらの登攀でした。

F3を上がったところ

登ってくるフォロー

・3ルンゼ5P目
会員外の人がリード。IV A0(30m)となっているが、チリ雪崩が多かったためかA0するリングボルトも見つからない様子だった。カムと、スッカスカの氷に打ったユッルユルのスクリューでプロテクションを決めてF5を突破し、F6の手前でピッチを切りました。(今考えれば、このピッチのビレイ点にしたリングボルトや残置ロープスリングは、6P目のA0用?)

F5だって、氷化した雪の壁

・3ルンゼ6P、7P目
IV A0(30m)”チョックストーンのあるチムニーの左壁を人工で超える”のF6は、右壁を超えることになりました。チリ雪崩で埋まっていたので、乗越先のリップにアックスが打ち込めそうでしたし、乗越下のハング帯にカムを決めるクラックが見えていたからです。とはいえ、乗越するときには足元は氷がなく岩にフロントポイントをおくようなミックスクライミングでした。乗越おえた後にみえた、緩斜面が7P目になりますが、II(50m)”雪壁化したガレ場と草付き”ではなく、ばっちりなラッセルのように思えたので、そのままリンクしました。終了点の立木には真新しいロープスリングとカラビナ2枚が残置されていました。

F6のチョックストーンの右側を登った

・グラスホッパー
1週間前に訪れた人の話から「グラスホッパーは繋がってなかったよ」と聞いていました。
1週間経てばもしやワンチャンあるかも、と思っていましたが、そんなことはなかったです。
というか、適切な表現は「上から1/3しか凍ってないよ」でした。「繋がってなかったよ」といえば「つながりそうなのだけれども、あと少し」という願望が込められている表現と、勝手に受け取ったわけです。
さて、今シーズンは「”下まで”繋がる」のでしょうか?

3ルンゼのコルから

・下降
3ルンゼでビレイ点にした残置物を利用して、4回の懸垂下降をして3ルンゼ取り付きに戻りました。

F4

F3

▪️2/21 Sun. DAY2
2日目にどのルートを登るか、相談してみたところ、北沢大滝+本峰正面ルンゼルートで錫杖岳ピークにいくか、1ルンゼに行くか、どちらかに落ち着きました。が北沢大滝〜のルートは時間切れとなると当日に帰れなくなるし、途中敗退するにもトップアウトする性質のルートだろうから懸垂下降用の残置支点が望めない、ということで、1ルンゼとなりました。
起床5時。朝ごはんを食べていると会員外の人は頭痛に襲われたので薬をのみ、軽く仮眠。
07時にベースを出発し、1ルンゼについてルートを見上げたところ、あまり良くない予感が的中しました。「気温があまり高くないタイミングを掴みたい」というトポの解説に反して遅い到着時間、前衛壁が南面の日当たり良好であること、そして当日の気温の高さ(東京は4月下旬並みの最高気温21度だった)が合いまって、うっすいベルグラはグズグズになり、滴り放題になっていました。
見た途端、「こりゃコンディションよくないなあ、登りたくないなあ」と感じたのと反面、「できるのはこのピッチくらいかも」という会員外の人がリードをすることになりました。
「プロテクションプアになるなら降りてくる」と言い放ち、取り付いた1P目。少し登りスクリューを打とうとしました。
スクリューのクランクを数回回すと岩に当たる、スクリューは半分も入っていない。
てなわけで、降りてきましたよ。

1ルンゼの1P目

やっぱ、登り始めの時間も遅けりゃ、晴れすぎの天候も良くなかったんですねw
1ルンゼをやめて、錫杖の地理概念を把握にあちこち歩き回って、下山してきました。

 

 


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