八ヶ岳 裏同心ルンゼ/峰ノ松目沢/ジョウゴ沢

1月12日 裏同心ルンゼ    

メンバー L.広島大樹(記録)、江原 純、丹波泰三
初日は、赤岳鉱泉へのアプローチに時間がかかるので、当初予定していた峰ノ松目沢は明日に変更して、行動時間が短くてすむ、裏同心ルンゼに行くことにした。ルンゼの入り口には、右岸ずたいにトレースがあるが、新しく不明瞭なので、しばらく人が入っていないと思われる。20分程歩くと先頭を行く単独の登攀者に追いつき、そこからは我々がラッセルして進んだ。F1は、ほとんどが雪に埋まってしまい、上部5mしか氷が露出していなかった。つづくF2・3段もその形状が確認できない程に、雪で埋まってしまっていた。F2上の潅木のビレイ点からF3を見ると、これも悲惨な状態なので、ここから左岸の稜線に上がって下降した。
裏同心ルンゼは、細く急峻な滝が多いため、積雪量に左右され易い事は知っていたが、今年は本当に雪が多いのだと改めて実感した。

1月13日 峰ノ松目沢      

メンバー L.広島大樹(記録)、江原 純、丹波泰三
朝6時に出発。北沢沿いを10分程下った橋のところで右岸に渡った。膝上ぐらいのラッセルで、尾根をトラバースぎみに越えて、峰ノ松目岳側のルンゼに入った。ルンゼの中は、雪が吹き溜まってラッセルがひどいので、側壁ずたいに雪の少ないところをねらいながら詰めていった。2時間ぐらい経っただろうか。ようやくF1らしい氷瀑に出た。その上にF2らしい氷瀑も見える。峰ノ松目沢はこれに間違いないと思い、アンザイレンして取付いた。F1とF2を越えると、その先に大きな岩があって行く手をふさいでいる。トポを見ると峰ノ松目沢の隣に王者の氷瀑とある。これは間違えたと思い、再びそこから左岸の尾根をトラバースした。小さなルンゼを越え、さらに尾根を越えたところで大きな明るいルンゼに出た。下に2段の氷瀑と上に10mぐらいの氷瀑がある。アプローチを始めてから2時間半。ようやく峰ノ松目沢に到着した。潅木の残置シュリンゲでF1基部まで懸垂下降する。取付き9時。江原のリードでF1を登り始めた。沢が広く雪を堆積するだけの十分な容量があるため、裏同心ルンゼよりも滝が雪で埋まっていない。F2は、右の一番傾斜がきついところから取付いた。中段でスクリューを一本かまし、左に回りこんで直上した。フォローの江原、丹波も順調に登ってきた。照りつける太陽が斜面の雪を溶かすので、アイゼンに雪団子が付着する。重い足取りと太陽の熱に喘ぎながら、ラッセルと小滝の連続を1時間ほど行く。右岸に岩の洞窟が現れ、F7らしいなめ滝に出た。Wヤッケを脱いで、休憩をとり、氷を壊してその下に流れる水を飲んだ。F7下部のブルーアイスがとても印象的。核心のF8ツララのカーテンは、下部6mが垂直にそそり立ち難しそう。しかし、ツララの出来がいいので迷わず右側から取付いた。ツララは堅く頑丈なのでスクリューが確実にきまる。下段を登ったところでピッチを切った。上段は、成長著しい江原に任せた。F9は雪に埋まっているので巻いた。急な雪壁を30分程登ると稜線直下の岩壁帯にぶつかり、そこから右にトラバースして稜線に出た。13時着。稜線にはトレースが無く、深いところでは胸までのラッセルだった。股下ぐらいのラッセルを1時間30分続け、ようやく硫黄岳からの一般縦走路に出た。

1月14日(月)成人の日 八ヶ岳・ジョウゴ沢本谷     

メンバー:広島、江原(記録)

連日の晴天に恵まれた3連休の最終日、ジョウゴ沢本谷を硫黄岳まで遡行した。12日の裏同心ルンゼ(雪が多いため途中から下降)、13日の峰ノ松目沢(静かな沢、広島さんの記録を参考)は丹波さんを含めた3人パーティーで登ったが丹波さんが14日朝一で下山したためジョウゴ沢のみ広島さんと江原の2人パーティーになった。

6:20、テントで賑わう赤岳鉱泉を後にジョウゴ沢へ向かう。5分程で出合。硫黄岳へのルートと同じくらい太い踏み跡がありバッケンがなければ縦走路と間違えてしまいそうだ。踏み跡をたどるとこれまた5分もせずにF1(5m)に着いた。穴だらけだが前日まで雪に埋もれる寸前のような滝が多かったのでブルーアイスが登れるだけでうれしい。まもなくF2(15m)。これもほとんど埋まっていなかった。基部で準備をしていた6人くらいのパーティーに先を譲っていただく。一部氷の薄いところがあり、氷の裏側まで穴のあいたスタンス(ホールド)があった。F3(5m)は透明な氷。裏を流れる水の様子が見えた。ところで氷の色の違いはどういう理由で出来るのだろう??この辺りフリーで登れる滝がテンポ良く現れて楽しい。右俣を分けると左右が開け広々とした場所に出た。こういう場所があるから下部の滝が雪に埋まらずに済んでいるのだと思う。さらに進んだところで、右ルンゼに寄り道しナメ滝の左にある氷柱(25m)に取付く、7:15。広島さんのリードでトップロープを張ってもらい左の方を2回ずつ登った。傾斜も高さもあるので緊張…、「ヒッカケ登り」でいいんだとアドバイスされるが思わず力んでしまい拳を氷に打ちつけてしまう。再び本谷に戻ると概ね雪の上を歩いて(小さなナメ滝が幾つかあったような気もする)大滝へ。左右を岩に挟まれた大滝はトポによると25mだが半分以上埋まってしまっている様子。下部の急なところは6~7m、その上部に傾斜のゆるいところがやはり6~7m程だった。ここは江原がリード。今回の山行までスクリューを使ったことがなかったので支点をとるのが難しく感じた。
大滝の上部は大滝を要に扇を広げたような地形。長々と横切る硫黄岳の稜線まで開放的な眺めだった。ここでトレースはプッツリ途絶えた。少なくてもこの連休中に稜線まで抜けた人はいないようだ。登攀具をしまいヤッケを脱いで稜線に向かう。青空と雪の対照がキレイで、風のない穏やかな空気共々幸せな気分にしてくれる。一汗かいてピーク到着は10:05。赤岳鉱泉のテントに戻ったのが11:00。

ジョウゴ沢は(他の沢よりも)滝が雪にうまりにくい(らしい)点、アプローチが短い点、ナメ滝から氷柱まで氷のバラエティに富んでいる点、ピークまですっきり抜けている点が素晴らしいと思う。また今回の山行では晴天に恵まれ稜線までテンポよく登れた点が楽しく印象に残った。個人的には傾斜の強い氷柱を緊張しながら登るよりも傾斜のゆるい滝をフリーで登る方が嗜好に合うように感じた。


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