■日程: 6/9(土)
■メンバー:曽山、入沢、多久和、大塚A、三浦、中村、北野、飯田(記)
■天候:快晴
■場所:神奈川県山岳スポーツセンター
http://www.kanagawa-park.jp/sangaku-sc/sisetu.html
年に2回の恒例行事であるベルニナ山岳会さん主催の確保トレーニングに参加させて頂きました。
■トレーニング記録:
8:30 小田急線、渋沢駅に集合。車で秦野戸川公園内にある山岳スポーツセンターに向かう。
戸川公園は丹沢を大倉尾根から登る際にはいつも利用していたが、こういった施設があることをこれまで全く知らなかった。
高さ15mの可変式クライミングウォール(有料)や、高さ2mのミニクライミングウォール(無料)等もあるクライマーの為のトレーニング施設だ。
各自支度を整えた後は、みんな揃って準備体操を実施。
確保訓練 恒例行事であるこの確保トレでメインとなるのは、タイヤを落下させての各種制動確保。滑車、ザイル、タイヤ 、ワイヤー、ウインチなどの準備終了後、訓練を開始する。
約50kgのトラックバス用タイヤを15m程上げたところで、自由落下させ、それをロープで止めて確保。まずは最も原始的というか基本的とされる「肩がらみ」での確保に挑戦。確保器具を使用せずにビレイヤーの体で落下を止める。
まずはベルニナ山岳会さんにレクチャーを頂く
1)落下するタイヤを肩の制動で少し流して、体全体で止める。(決して腕で止めるのではない)
2)落下を止めたらロープを腰に回して仮固定ポイントに移動。ロープとハーネスを仮固定して両手フリーに。
3)マッシャー結び(オートブロック)にて支点とロープを反固定。
4)ハーネス側のロープを支点に移し、ムンター(イタリアン)ヒッチで確保者(この場合タイヤ)を地面に下ろしていく。
と、ここまでが一連の流れ。
まずはこの「止める」部分のみを、ロープを引いて走ってもらい各自練習。ロープを肩で流し、この時の摩擦で制動を掛けていく。そして最後に肩と背中でキュッと止めてみせる。
頭では理解できるのだが、実際にやってみるのとでは大違い。落下時の最初の衝撃を受け流すことができず、腕に力が入ってしまい、そして姿勢を前に崩されてしまう。
最初の衝撃をいかに「受け流せる」か、これが肩がらみで「止める」ときのポイント。確かにビレイヤーの体重によってこの落下衝撃具合には差があると思う。自分がここを耐えれないのはここ最近のダイエットの所為ということにしておこう。
自分を含めた、確保トレ今回初の皆々がそれぞれチャレンジしていく。やはり最初の「流して止める」という部分の体得には皆、苦労していた。中村さんはそのポテンシャルの高さから何をやらせても最初から結構うまい。
新人に混じってベテランの方々も精力的に練習、お手本をみせてくれた。
写真はなくて残念なのだが、三浦さんはかなりうまかった。キレイに流して止めていた。流しすぎなほどに流していた。
懸垂下降訓練 続いては「確保機」がないシチュエーションを想定しての懸垂下降練習。
確保機の代わりに、ハーネスに付けた安全環付カラビナにムンターヒッチ(半マスト)でロープをつなぐ。デバイスを使用したときよりも結構制動が効いているので、通常の懸垂下降と同じようにロープを持っていたら流れが悪くなってしまった。
ムンターヒッチの結びに関してはまだまだ練習が必要。ゲートの向き、ロープの掛け方、巻き方向で数通りのやり方があるので様々な練習が必要だと思った。
ムンター以外にもカラビナを2個使用してのやり方等もあるらしい。(ロープはキンクしやすいとか)やると思っていた懸垂下降中の仮固定は今回行っていない。これはまた次回。
自己脱出訓練 続いてはプルージックやマッシャー(オートブロック)を使用しての自己脱出訓練。この手の反固定は結びの奇麗さが命であり、スリングの巻き付けがロープの表面にピッシリと揃っていないとフリクションが半減してしまう。外側からの締め力で制動を掛けているから巻きがちゃんと当たっていないとその部分は無駄になる。キレイに素早く負けるように工夫、練習してきたい。
スリングを腕用と足用に二つロープにセットして登っていく。一方に体重を掛け、一方を上にずらしての繰り返し、それで登っていく。自己脱出での登りにも立ちこみの力が必要になるが、エイドクライミングの際のあぶみ一段目に比べれば楽だった。
確保訓練2回目 残った時間は、再びタイヤでの落下確保にチャレンジ。
自分は怖過ぎてチャレンジを控えたが、スタンディングアックビレイでの制動確保に数人がトライしていた。(まだアックスという物自体が怖い)
肩がらみでの確保を数回、本気トライさせて頂いたが何度やっても最初の衝撃に耐えることができない。難しい・・・
後で写真を見てみても自分がいったい何をやってるのかよくわからない・・・なんだこの姿勢は? 何かの舞踏だろうか?
デバイス(確保器)を使用しての制動確保も試してみた。こちらをバケツ型のATCで少し制動を効かせただけでスッと簡単に止まってしまった。衝撃も殆どなかった。当たり前のように使っていたビレイデバイスの凄さがよくわかった。そして肩がらみの大変さも。
16:00 今回の確保トレーニングは終了。いろいろと課題が残ったが、次回、秋の確保トレに持ち越しとなったのであった。
今回のトレーニングで学んだこと
・タイヤを滑落者に見立てての制動確保(肩がらみ、ギア)※仮固定、反固定を含んだ一連
・確保器がないシチュエーションでの懸垂下降(ムンターヒッチ)
・自己脱出訓練(プルージック、オートブロック)
反省点
・肩がらみの落下確保で「流して止める」ことが体得できなかった。 → 悔しい!チャレンジできるのは半年後!週一で練習したいくらい。
・タイヤを止めることに夢中で仮固定が余り練習できなかった → 仮固定の結び方は様々ある。家で練習しておく。
・ムンターヒッチでの反固定がもたつく → ロープを2本重ねた状態だと更に難しくなる。練習が大事なのはもちろんだが、オートロック式のカラビナが特にやりづらく感じる。メインのビナはオートロックからスクリュー式への変更を検討。
トレーニングの感想
「肩がらみ」での確保が体得できなかったという点では非常に課題の残る確保トレーニングでしたが、そういった技術の部分とは別に、「肩がらみ」での確保というものがどういったシチュエーションで活かされるのか?という根本が自分にはまだ理解できていないと思いました。現代のクライミングにおいて「肩がらみ」が有効か?ということに関しては議論もあるようです。ですが「流して止める」という理論とその技術は基本として体得しておくべきものだと思いました。(雪稜でのスタンディングアックスビレイでも必要な技術)器具使用が基本とはいえ、山ではシチュエーションに対する選択肢とその実践技術が命運をわけることが往々にしてある。これもその際に持っておく選択肢のひとつとして体得しておくことのひとつ。確保トレーニングというのはそういったシチュエーションに対する選択肢を体得、鍛えられる、半年に一回の貴重のトレーニングなのだと理解致しました。
主催して頂いたベルニナ山岳会の皆様、ご指導頂いた皆様、有り難う御座いました。また次回も宜しくお願い致します!