■日程: 6/1(土)
■メンバー:曽山、多久和、大塚A、大塚B、飯田(記)
■天候:快晴
■アクセス:電車、車
■山行記録:
9:00 青梅線、鳩の巣駅に集合。曽山さん、多久和さん、自分は電車組。
大塚A、Bさんは車で到着。ピックアップして頂き、そのまま車で多摩川を渡り林道付近の駐車場まで向かう。駐車場からのアプローチは大楢峠方面に向かう林道を途中で小道に入って20分程。しかし、その道中で道沿いの民家からこちらを見ていたオジさんに「帰りはキャンプ場の道を使ってね」と注意されてしまった。どうやらこちらの道は通行禁止になっているようだ。
てっきりこのオジさんがここの地主かと思ったが、後で聞いたらこのオジさんはあくまで借主で、地主としては別に通行禁止していない・・・らしい。
この小道を使うのとキャンプ場側から回ってくるのとでは約2倍の時間差がある。(でもキャンプ場側の方が道はいいかもしれない)
地主の方からのクライマーへの注意書き
この岩場では死亡事故が起きています。事故防止のため次の人々の入山を禁止します。
・初心者及び技術不足の人
・握力、体力不足の人
・不完全な装備の人
・落石など平気な自己中心の人
・死を恐れない見栄っ張りの人
うーん、最初の三つくらいは当てはまるなぁ・・・
岩場に到着すると、そこにはいちおうベースとなる荷物置き場があった。(取り付きからは少し離れていたかな?)
越沢バットレスはその全景がちょうど視界に収まる程の規模感だがすごく迫力がある。なんといっても目立つのが「第二スラブルート」であり、岩場の上部にまるでアトラクションのように配置されたスラブが非常にカッコいい。登ってみたいと思わせるルートだった。
各自準備を済ませて、まずは「右ルート」から登攀開始。
パーティ編成:①曽山(リード)、飯田(2nd)、多久和(3rd) ②大塚A、大塚B(ツルベ)
ルート名:右ルート(別名:一般ルート)
グレード:Ⅳ+(5.5/5.6)
ピッチ数:2ピッチ (3ピッチが普通?)
越沢の岩質はチャートと呼ばれるもので、非常に硬く、岩角は大理石のようにツルツルしているものも多い。過去にはその鋭利な岩角でロープの切断事故なども起きているらしい。
ここで、ちょっと気になったのでクライミングにおける岩質の種類について調べてみた。
まず岩石自体はその成り立ちから大きく以下の3つに分類できる。
・火成岩 マグマが冷えて固まったもの
・推積岩 火成岩が地表で浸食、風化して再び固まったもの
・変成岩 推積岩が圧力や熱などで変成作用を受けたもの
火成岩種に分類される岩の代表として安山岩、花崗岩などがある。
・安山岩 黒っぽくて少し脆い 湯河原幕岩、城ケ崎など
・花崗岩 ザラザラしてフリクションがよくクラックも多い 小川山、瑞牆山など
推積岩種の分類としては凝灰岩、石灰岩、チャートなどがある。
・凝灰岩 表面はなめらかで安定しているが柔らかい 広沢寺、甲府幕岩など
・石灰岩 雨に溶けやすく、沈殿すれば二次性生物を作る。そのため前傾壁や複雑な形状が多い 二子山、白妙橋など
・チャート 硬く安定しているが鋭角な岩角もある 氷川屏風、秋川天王岩、越沢バットレスなど
変成岩種は日本では少ない。大理石などがこれにあたる。チャートは変成岩だという記述も中にはある。
1P目 すいすい登っていく曽山代表を下から見ていて簡単そうに見えたのだが、いざ自分が取り付いてみると結構怖い・・・たぶん岩質と岩場全体に漂う「陰」な雰囲気による緊張感からの怖さだと思う。この日の気候は結構涼しくて良かったのだが、普段はもっと湿度が高くジメジメしているらしい。夏場は結構大変だろうなと思う。ツルツルな岩角が手汗で滑りそう。天狗の肩のテラスでピッチを切る。
セルフビレイの手順がまだもたつく。バックアップ用のスリングはヌンチャク等を連結しておいて、すぐ掛けられるように準備しておくことが必要。
2P目 凸凹フェイスが続くが、だんだんホールドが細かくなっていく。上部からは核心の「右のすべり台」に突入。10m程の一枚岩スラブで結構ツルツル。ホールドの細かさでいったら第二スラブより厳しいかもしれない。左コーナー部分を手掛かりに足を上げていく。
終了点から取り付きまでの距離は40m程。懸垂下降一回で降りる。
懸垂下降に入る前、足場がしっかりしてるとはいえ確保器下のロープをしっかり握らないままでセルフビレイを外そうとしてしまう。危険な癖をつけないよう、この手の基本手順は徹底しておこう。
12:00 ベースまで戻り昼食をとる。午後からいよいよ第二スラブルートへ。第二スラブは越沢の入門かつ人気ルートだけあって渋滞気味。
ルート名:第二スラブルート
グレード:Ⅳ+(5.5/5.6)
ピッチ数:3ピッチ
1p目 取り付きは階段状で易しいのだが、途中で一か所手間取ることろがあった。手で先行して登ってしまうと、その後足を見つけられずにバランスが悪くなり腕を無駄に消耗するということがよくある。オブザベーションやルートファインディングを向上させるためには易しいルートでも岩場をよく見ることが大事だと思った。
2P目 ほぼ垂直のクラック沿いに進んでいくが、ここも結構ホールドが厳しく感じた。選択肢は多いと思うんだけど、体が振られないようバランスの取れるホールドを見つけるのに結構手間取ってしまった。後半は核心スラブ入口まで入っていく。高度感が徐々に増してくる。
スラブ下部のバンドでセルフをとったのだが、そこで先行パーティが進むのを暫し待ち。代表も多久和さんもタバコを吸うので、僕も一服。狭いバンドで3人並んでの喫煙姿は傍から見たら眉をひそめる光景だったろうなと思う。ちなみに味わうような余裕はなかった。
3P目 核心のスラブ部分。まず出だしからして怖い。スラブの右側は完全に切れ落ちており、その右側にトラパースしていく形でのスタート。わずかなフットホールドを頼りに空中に体を投げ出していくような感覚。
代表の登りを見ていたはずなのに、目の前のガバを頼りに進んでいたら、どんどん右側にそれていってしまい慌てて軌道修正。幅広のスラブだがホールド、スタンスの選択肢は豊富にあるので落ち着いて進めば問題はないはず。ルートを左コーナー側に寄せていくとやはりコーナー側には安定したガバが多い。後半は結構腕で登ってしまったかもしれない。真のスラバーはこれを直上するんだろうな。(直上の場合はⅥ級)
奥多摩在住の山野井泰史氏は越沢に通い慣れており、これくらいはフリーソロで登ってしまうらしい・・・
終了点から歩いてすぐの場所に「お宮のハング」という人口登攀の練習ができる小さなハングがあるのだが、渋滞もあってか全員が終了点に着いたころにはもう16:00近くになっていた。せっかくアブミも持ってきていたので見るだけ見てみようということで向ってみることに。ちょっと迷って辿り着いたそこは、うす暗くジメジメした10m程の岩場。登りはまたの機会にということで下山となった。
懸垂下降は右ルート同様に50mロープ懸垂下降一回で足りる。懸垂下降のセットアップを自分で試してみる。支点の確保、八の字の連結、末端処理、どれか一つでも間違えば重大な事故に繋がる。こういった基本技術はしっかりと身につけていきたい。
ビレイグルーブを購入したので今回初めて両手で使用してみたのだが、やはりロープ操作はしづらくなった。これは慣れていくしかないんだろうか?
16:30撤収。帰りはキャンプ場側の道を使用。途中、スリリングな吊橋が数か所あるが、林道に出てからは舗装が進んでおり結構快適だった。将来的には車でのアクセスがより便利になるかもしれない。
17:00 鳩の巣駅に戻ったら、駅真ん前の飲み屋みたいな食堂「玉福」にてビール。外テーブルでの快適な気候の中、本チャンさながらのトレーニングを終えた後でのビールは格別に旨い。店主のおばさんもファンキーで面白い人だった。お店の閉店(20:00)まで飲んで、今回のトレーニングは解散となった。
「玉福」
http://tabelog.com/tokyo/A1330/A133004/13081728/
今回のトレーニングで学んだこと
・ルート全体を通じたマルチピッチ一連(復習)
・セルフビレイ時のバックアップの取り方(復習)
・懸垂下降のセットアップ(復習)
・本チャン仕様でのアブミの収納方法
反省点
・マルチピッチ開始時、自分が登るときまでロープをハーネスに結んでなかった → さっさと結ぼう
・セルフビレイ時、スリングでのバックアップ作成が遅い → スリングとヌンチャクを繋げてバックアップ用に1セット準備しておく。
・懸垂下降時、ロープをしっかり持たずにバックアップを外そうとした → 確保器とロープで自身を確保した上で最後にバックアップを外すことを徹底する。
・登攀時、ルートを間違えて手間取る → トップの人のルートをよく見る。そして自分でもルートを探す。
・アブミの収納が汚い → あぶみを4段から3段にして少しコンパクトになった。
トレーニングの感想
本チャン練習のゲレンデということで期待と不安でいっぱいでしたが、「第二スラブルート」という今後、思い出深くなりそうなルートを登ることができて非常に嬉しかったです。第二スラブ登攀時は最初緊張しましたが、途中から徐々に爽快感が出てきて、代表の言う「スッキリしたルート」という意味が登って初めてわかった気がします。
あと次回からは自分のカメラでもっと写真を撮っておくようにします!(iphoneですけど)
皆様、次回も宜しくお願い致します。ありがとうございました。
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