聖岳冬山偵察

■日時 10月13日~14日

■場所 聖岳東尾根

■目的 冬山偵察

■メンバー ヨネ

■タイムテーブル
駐車場 4:00
登山口 6:30
冬道分岐 10:30
白蓬ノ頭  13:00
奥聖 16:00
聖岳 17:00
小屋 19:00
登山口 0:00
駐車場 2:00

正月の冬山はどこを目指すか。前回は北アルプスは、遠見尾根から八方尾根を抜けた。このルートは初心者向けには望ましい。まずスキー場のロープウェイを使えるのでかなりの標高までに楽に登れる。五竜までは相当あれていても到達できるので最悪はピストンで戻ってくることができる。そして主稜線上は適度に厳しい。道は比較的平坦であるが、北アルプス特有の風と大量に積もっている雪で冬山三昧である。初心者がある程度歩ける限りにおいては、初めて登ってみる冬山としては最適である。

しかしその他のルートはどうであろうか、考えられるのは槍ヶ岳中崎尾根か、燕岳から蝶に抜けるルートくらいか。

そこで全国に目を向けてみればあるではないか、南アルプス。甲斐駒と北岳以外には足を踏み入れたことがあまりないが、塩見岳、赤石岳、聖岳あたりは雪も多くそれでいて天候はある程度安定しているためにこちらも初心者向けといえるのではないだろうか。

正月山行を頭にいれて偵察をしてみることにした。

まず地図を見てみると正月山行ができて、アプローチもある程度ましで、雪がたくさんあるところとなると、前述した塩見岳、赤石岳、聖岳、光岳あたりになる。

赤石岳は聖岳の向こう側になるので距離が少し伸びる。塩見岳は何となくであるが正月も人がいそうだからルート確認は必要なさそう。光岳はアプローチがよさそうである。ということで少々手ごわそうで、人も入っていなさそうな聖岳を今回は目指してみる。

さて次にルートを決める。まず一つ目は聖岳登山道、2つ目は聖岳の冬道、3つ目は東尾根が対象か。ほかにも兎岳、上河内岳、西沢渡しを経由するルートがある。しかし兎岳、上河内岳は長すぎる、西沢渡しはあまり面白そうではない。

こちらのページから東尾根が面白そうであるので、このルートを目指してみることにする。
http://minamialps-south.cocolog-nifty.com/

東尾根は途中で冬道と合流する。冬道における斜度や尾根の具合、合流地点等の情報が頭に入ってくるだろう。

次に決めるのはスケジュールである。本来は1泊2日で行くルートであるが、日曜日に用事があるので、土曜日の夜中までに降りてくるようにする。行動時間は以下のように計算すると、合計行動時間は27時間となる。朝4時から歩き出すと翌日の朝7時になる。

畑薙ダムゲート~東尾根尾根登山口 4時間
東尾根尾根登山口~聖岳 13時間
聖岳~登山口 6時間
登山口~畑薙ダムゲート 4時間

これでは長すぎる。ここでボトルネックになるのが沼平~登山口間である。およそ15kmの林道であり、どうしても時間がかかってしまう。しかしふと思いつく、そもそもこの道はバスが通行している道であるから、自転車でも可能ではないか、そこで調べるとやはり記録がある。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1299648.html

記録によるとおよそ片道2時間である。合計時間としては4時間短縮で、とりあえず23時間。24時間を切ったのでこの計画で行くことにする。

10月12日夜11時に東京を車で出発する。目的地は畑薙ダムゲートである。エリアとしては奥静と呼ばれる地域になる。こちらは初めてであり、どんなところか。まず高速降りてからが長い!しかもナビを見ていたら途中で通行止めになっている。「いきなりアプローチ敗退!」思わず口に出た。回り込むと追加で2時間ほどかかるので、朝になってしまう。とりあえずぎりぎりまで行って様子を見ることにする。結果としてはナビで通行止めになっているところは特に問題がない、いったい何だったのだろうか、、、

畑薙ダムゲートに到着したは3時半。今回はライト&ファストを目指すので準備は少ない。水、食べ物、ツェルト、ダウンジャケット、15mロープのみ。荷物が軽くてありがたい。そして家から積んできたマウンテンバイクを出す。デミオに収めるには一苦労であったが、出すにも一苦労である。

4時に出発。林道は比較的緩い上り坂である。それでもところどころ足がピキピキする斜度であるので、降りてずりずりと引っ張る。電柱には番号が振ってあり、進んでいくとカウントダウンするからモチベーションがあがる。朝6時にダムにたどり着き、ここから15分ほど東尾根登山道の入り口である225番電柱にたどり着く。すぐわきには28番巡視路の目印がある。

東尾根登山口からは斜度が急である山の中腹斜面をジグザグに登っていく。鉄塔は迄は道がしっかりついているので迷う恐れはまったくない。マーキングもこれでもかというくらいある。

さて順調なのは鉄塔までここからは踏み後がほとんどない。距離があるマーキングと地形を頼りに尾根をひたすら登っていく。それにしても9月に来た台風の影響はすさまじい。あちらこちらで木がぼきりと折れている。マーキングがついていた木も折れているためだろうか、ところどころは斜面の具合を見ながら登っていくしかない。

尾根に出ると立派な踏み後があるためにスピードが上がる。冬道との合流地点まではあっという間であった。

白蓬ノ頭 までも踏み後とマーキング、そして伐採に従っていけばとくに迷うところはない。ただほぼ水平であるために冬に雪が積もっていたら相当なラッセルになりそうだ。

 

 

白蓬ノ頭からは正面に赤石岳がどかんと望める。いつかは赤石岳~兎~聖までの冬山縦走をしてみないものだ。聖岳まではまだまだ距離がある。

さて蓬平か奥聖までは少々わかりにくいが踏み後をたどる。這松帯が3ブロックに分かれているが尾根沿いに進もうとすると這松帯の嵐に入り抜けるのにとてつもなく苦労する。

正解は向って右側にある樹林帯を進んでいく。少々わかりにくいが踏み後が続いている。

この時は最初這松帯を必死こいて抜けた後に、樹林帯で踏み後を見つけて確認のために戻った。蓬平から少し右寄りに行くのがポイントである。

奥聖についたはすでに夕方4時であった。

雲も少し出てきたので雨(もしかしたら雪が降るかも)、と思いつつ足早に聖岳に向かう。目の前にすぐある聖岳であるが、案外時間がかかった。この時点で行動時間としては12時間を過ぎていたので少々疲れていたようだ。足をずるずる引きながら、聖岳へと向かう。

聖岳から聖平小屋へは一直線に降りる。聖平小屋周辺は完全に平地になっているのでこ冬来たらこれは大変そうだ。ワカンではなくスノーシューがよいかもしれない。

聖平の冬季小屋はまるで新築のようで、木の香りするし、これは住める。

 

中には大学生がらしい人が3人ばかりいた。ここで一泊していこうかとも思ったが時間は夜の七時。頑張れば本日中に戻れるので、そのまま進む。この時「道が崩れていますよ」と言われたのだが、まあそんなこともあるかなと思っただけであまり気にはしなかった。これが実は後で大きな間違いであることがわかる。

聖平からの登山道は台風の影響で総崩れ。橋という橋がなくなっている。しかも暗くなっているので対岸の道が分かりにくい。体力よりも精神的に参ってしまった。それでも最後には沢にかかっている橋はないよね!という現実に慣れてしまった。

ドラマは最後にきた!登山口まで直線距離で200メートルまで来たところで登山道が崩れている。山の中腹で土石流が発生したせいで幅20mくらいで2か所完全に崩壊中。道が見つからないどころか、土石流の中を進んでいくしかない。真っ暗で先が見通せないのでGPSを見ながら、尾根沿いに進んでいく。およそ100mくらいであったがここで一時間近く時間を費やした。

登山口には0時ちょうど、駐車場には自転車で2時間ほどで到着した。この時ほどマウンテンバイクのありがたみを感じたことはなかった。

冬山と考えてみればアプローチの長さ、ラッセルの手ごわさを考えると初心者向けとはいいがたいが素晴らしい山であった。

 


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