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東京緑山岳会
2001年度 山行記録
中ア   正沢川悪沢、幸ノ沢(F1近辺のみ) 氷瀑
八ヶ岳  湯川の氷柱 氷瀑
日光   雲竜渓谷 氷瀑
北ア   西穂西尾根 雪稜
北ア   白馬主稜~三山縦走~双子尾根 雪稜 春合宿
谷川岳  万太郎本谷 沢登り(敗退)
谷川   太源太川北沢本谷 沢登り
那須   阿武隈川南沢右俣 沢登り

注意:これらの記録は実際に登攀したメンバーによって書かれていますが、記述についてはそ
の正確さを保証するものでは有りません。計画の参考にされた場合に起きるトラブルについ
て、当会では一切責任を負いかねますのでご承知下さい。



1-1
12/29~31 正沢川 悪沢、幸ノ川     メンバー 斎藤、東出(記録)(29~31日)、辻、丹波
(30,31日)

家庭の事情により正月は基本的に入れないので、今年は氷のトレーニングと称して初心者3
名と木曽駒でのんびり遊ぶことにした。12/28夜、斎藤さんに家の近所で拾ってもらって府中IC
へ。高速は空いていて、約3時間で木曽駒高原スキー場に到着。

初日は短い沢だからと、翌日は6時起床7時発。エアリアマップを参考に、第一駐車場からゲ
レンデの一番下のリフト下を横切るのかと思いきや、そうではなくて、第7駐車場まで行って、
ゲレンデの中腹を横切るのが正解だった。うろうろしているうちに30分ほど経過。
ルート集では正沢川の左岸の道は薮がうるさいなどと書かれているが、本流を飛び石伝いに
行くより、こっちの方が断然早いし薮もうるさくない。沢に出てからわずかで悪沢出合い着。約
1時間。出合いで準備して遡行開始。斎藤さんは氷初心者で、今年2回目。1回目はジョウゴ
沢のナメ氷で行き詰まって、芋虫になってしまったと。例によってユマールがあるので大丈夫だ
と思うが…。

ルート図の最初の滝は知らぬ間に越え、結氷の悪い10mかそこらの滝が出現。滝の中心は
かろうじてベルグラが張っている程度。薄ら氷の下にじゃかじゃか水が流れている。右壁は傾
斜の緩い岩で、これをへつる。斎藤さんもクリア。続く「トイ状の滝」はどこがトイ状なのが良く分
からなかったがとりあえず越えた。ナメているが斎藤さんは時間がかかる。途中ところどころ小
滝があったかもしれないが忘れてしまった。ナメ氷でもロープを出さざるを得ない状態。斎藤さ
んの歩みは遅く、大滝下で何と15:00。唖然とする。大滝の左、右と2本登る予定であった
が、さっさとあきらめて右の本流に取り付く。1ピッチ目はナメ状だが左寄りは氷が薄い。斎藤
さんもこれはクリア。2ピッチ目、正面はところどころ?級マイナス程度だが斎藤さんには難しか
った。待てど暮らせど登って来ず。左から回り込もうとしてズリ落ち、しかたなく右から登ろうとし
てまたズリ落ちしているうちに日が暮れてしまったようだ。やむなくユマール!の指示を出す。
ホキた腕でユマール登りはさぞしんどかったことだろう。結局、大滝上を少し登ったところで幕
営。実は、今日中にさっさと抜けて、幸ノ川出会いに赴き、今夜の夜行で来る辻、丹波と合流
する予定であったのだが…。

翌朝は6:30出。短い沢なのでスグ抜けられるだろうとタカを括っていたが甘かった。大滝上
は急な雪壁が続く。ラッセルはスネからヒザ程度だったが、もっと雪が多いと確実に雪崩れる
傾斜だ。途中から岩場などが出てきたので左の尾根に逃げて尾根伝い稜線へ。登山道に出
たのが11:30。登山道入口着13:00。そこに丁度、辻と丹波が登場。聞けば、朝6時にここ
に着いたが、我々のテントは無し、登山道を途中まで探しに行ったり、悪沢の出会いまで見に
行ったりと、ご苦労いただいたようだ。ホントにごめんなさい。結局その日は登れず宴会。夕
方、山口県から来たというパーティーが下りてきて、幸ノ川は結氷が甘いし、ナメ氷ばかりで雪
に埋まっているなどと言い残して行った。F1まで偵察に行ったが、確かに結氷状態はいま一つ
だ。丹波は氷が初めてだし、斎藤さんもいるし、大晦日に帰宅せねばならないし、とのことで、
翌日は、結局F1周辺の側壁に懸っている氷で遊んで帰ることとした。31日、7:30に出発。F1
まで2,30分の道程。そこでロープを数箇所に垂らして遊ぶ。12:00終了。13:00テント撤
収。スキー場までは30分もかからず下山。

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1-2
1/13,14 八ヶ岳 湯川の氷柱          メンバー 斎藤、東出(記録)

今週は、暇な連中は皆、八ヶ岳の南稜(!)に行ってしまったので、ヨセミテ帰り(!)の斎藤さ
んを誘って久々に湯川にトレーニングに行くことにした。例によって家のそばで拾ってもらい、
中央道にのる。湯川に着いたのが1:30頃。林道は除雪されていたのでスムーズに奥まで入
れたが、除雪で道路脇に押しやられた雪が岩のようにコチンコチンに凍結している。今年は乱
菊の氷柱が登れるかと期待に胸が膨らむ。

とりあえず翌朝は白髪エリアで斎藤さんのトレーニング。陽が当たらないこともあって例年通り
に結氷している。ただし左岸はつららが若干細い。とりあえず右岸で何本か登る。高さこそない
ものの、比較的立っている湯川は、やはり初心者の斎藤さんにはキビシイ。昼過ぎまで登って
斎藤さんの腕がホキたところで左岸を1本リードさせてもらう。つららを割りつつハング下を回り
込んで立ち木で終了。久々のバーティカルアイス。氷の楽しさを感じてしまった。2年前はつら
らがもっと太かったのでハングを直上できたんだったが。下部のナメ状で斎藤さんがトレーニン
グして早めに終了。当日は下の温泉「灯明の湯」にのんびりつかる。

翌日は雪。とりあえず乱菊エリアに行くが、対岸から観察したところ、登れるのはわずかに2
本。2年前もつららの成長はいま一つだったが、それでも林道下一面に氷壁にはなっていた。
今年は氷が張ってない。陽
があたる斜面はさっぱりのようだ。反対側の修行の滝も円筒状になってない。樋状程度。ただ
し右から登れる状態ではある。という状況のため、斎藤さんが登るところがないので、エリア真
中に成長している氷柱を1本だけ登らせてもらうことにした。ただし、つららが下まで届いてない
ので家族持ちにはリードは恐怖である。さっさとあきらめて林道から確保してもらう。右手の段
差を一段登って、つららがある程度太くなったあたりから氷柱に取り付き直上する。陽が当た
っている時にこれをリードするのは恐怖だなあ。日曜はこれで終了。アプローチの良さといい、
適当に立った氷といい、至近の温泉といい、湯川は最高のゲレンデなことよ。

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1-3
1/21.22 日光 雲竜渓谷          メンバー 内田、斎藤、辻、東出(記録)

最近連チャンで斎藤さんの自家用車を使わせてもらって有り難う。で、今週は雲竜渓谷に遊び
に行く。小生は初めてなのだが、2年前に沢登りに行った斎藤さんも記憶が飛んでいて初めて
状態だった。さて若干の積雪はあったものの、車止めまで入って仮眠。

翌朝7時発。林道伝いに行く。展望台まで1時間足らず。そこからしばしで河原に降りる道があ
り、その先林道は高巻いていたので、河原づたいに進む。ミッチェルはある。左岸、右岸を各1
回ずつ高巻くと林道が現れ、アプローチ終了。約2時間。しかし林道伝いにスキーでアプローチ
するのがベストという感じ。帰りが超楽だ。我々のほかには写真撮影のおっさんが2名来ただ
けで静かに登攀ができる。

エリアの状況は、というと、友知ラズ手前の氷柱は、ショートルートのみだが一面良く結氷して
いる。友知ラズは、例年どういう状態か知らないが、陽が当たるようで、下まで届いている氷柱
が3本のみ。あとはほとんどつららができていない状態。3本中、左の1本はべちょべちょで、
ハングにかかるつららは越えられそうにない程度にか細い。右は下部がカリフラワー状だが、
その上はやや薄いものの傾斜も緩く十分登れる。真中が良くできており楽しめそうな氷柱であ
る。今回の目的は雲竜瀑だが、先頭を歩いていた辻が、滝下でいきなり上キジを吐き始めた。
雲竜瀑直下に鹿がロクっているのが見える。こうはなりたくない。雲竜瀑自体は、1ピッチ目
(核心)の下半分が大き目のカリフラワー状。実際登るとこれがかぶっていて結構難しい。初心
者にはちと無理と思い、25m程度伸ばしてスクリューを3本かまし、トップロープで練習させる
ことにした。内田氏は難しいだの何だのとぶつぶつ文句を言いながらもクリア。辻はカリフラワ
ー周辺をうろうろしているうちに腕がホキて敗退。斎藤さんはカリフラワーに行くまでに敗退。

まあせっかく来たのだからと、小生が上まで登らせてもらうことにした。左側からトップロープを
張った支点まで上がり、その上の核心のハングを目指して登ったのだが、ハング下は氷が薄
く、ちょっと叩くと水流が出てくる。右の氷柱は、頭の部分はしっかり凍っているのだが、その下
のつららの裏は空洞。家族持ちとしては、このまま登っていいものかどうか迷う。しかしまあ何
とかなるだろうと右の氷柱にトラバース。少し蹴り込むとつららが吹っ飛んで、スタンスが無くな
るのでだましだまし、そろそろと登る。傾斜自体はそれほどでもない。ちょっと怖い?+程度のピ
ッチ。ハング上を少し登ると1段目が終了。45m一杯。ナメ(というか緩い雪壁)の上に2段目
の氷が見えるが、おまけ程度の氷瀑だ。もっとも、2段目を登りたくてもセカンド以下がついて
これないので、つららにシュリンゲを巻き付け、スナーグを1本残置して懸垂。登攀中ずっと待
っていてくれた他の3名には非常に申し訳なかった。15:00終了。凍えてしまった3人は「今日
はもう登らない」とのことで、幕営して鍋を囲む。

翌日、7:30頃出発。昨日皆さんに待ってもらって、登らせてもらったので、今日は黒子に徹す
ることにして、友知ラズ手前の氷にロープを張って遊ぶ。12:00終了。友知ラズは次回に持ち
越し。帰り道、林道に血が滴っているのでなんだろうと思いきや、鹿狩りの一行だった。夜は鹿
鍋だろうか。我々はバーミヤンでラーメン食って帰京。17:00川口着。

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1-4
3月17~19日 西穂高岳西尾根          メンバー:曽山、江原(記録)

 16日午後11時西国分寺駅集合。12月末に入会して初めての本格的な山行。岩トレとは違
う緊張を感じながら曽山さんの車で新穂高温泉へ向かう。松本午前1時30分、安房トンネル
午前3時。眠い目をこすっているとトンネル出口の自動料金所で1万円札を持ったおばばが車
を下りてウロウロしているのに出くわす。うすら悲しい光景に眠気も吹き飛び、あれこれ想像を
めぐらす。新穂高温泉着午前3時30分。車内で仮眠。

 17日、7時30分起床。昨夜は月に傘がかかっていたが今朝の天気は晴、笠ヶ岳へ続く稜線
が高くそびえている。睡眠は3時間あまりだが眠りが深かったのか、気持ちが張っているのか
あまり眠気を感じない。9時頃出発。しまった雪の林道を歩く。曽山さんの足元からキジ(鳥の
ことです)が飛び出しあたふたと飛び去る。1時間ほど歩いて避難小屋の前で休んでいると同じ
コースを登るという京都のパーティー(3人パーティー。うち1人はは単独で槍に向かうとのこと)
が追いついて来た。以前に西尾根を登ったことがある様子でなんとなく心強い。簡単に挨拶を
した後、我々が先行し小屋の裏から尾根に取り付く。

林道を外れるとすぐに股の付け根までもぐるラッセルとなり初心者の自分には先が思いやられ
る。浮かない気持ちでワカンをつけて再出発。案の定2時間ほどで疲労困憊、足元が怪しくな
る。おまけに寝不足がこたえはじめて目を閉じるとフワフワと良い気持ち、立ったまま眠ってし
まいそうだ。正午頃からは雪。樹林帯ではルートガイド通り倒木が多く踏みぬくと首まで埋もれ
てしまう。落ちるとなかなか抜けだせないので怪しげなところでは慎重に進む。いいかげんへ
ばった頃後続パーティーが現れる。「これでトレースが出来る!」と不届きにも喜んでいるとそ
れを見透かしたようにすぐ上で休憩してしまい、またラッセル。14時30分、標高2,200M付近で
ツエルトを張る。曽山さんの携帯電話に連絡があり、明日会長が新穂高温泉にいらっしゃるこ
とを確認した。

 翌18日も雪。3時30分起床。明るくなるのを待ち、6時出発。そろそろまばらになり始めた
樹林帯を進む。カラカラとロープウェイのケーブルが動く音が聞こえる。辺りは雪深い深山の趣
だがすぐ隣の尾根にはロープウェイが動いていると思うと不思議な感じだ。7時、京都パーティ
ーのテントの脇を通る。標高をかせぐにつれ次第に斜面の傾斜が増すが、雪質が変わりラッ
セルも楽になった。ぐっすり休めたので体調も良い。ジャンクションピ-クへの登りで森林限界
を越える。ルートガイドによるとこの先、ジャンクションピークと第二ドーム間のコルⅠ、第二ド
ームと西穂ピーク間のコルⅡ、コルⅡからピークまでの登りが核心部だということだったが、ガ
スが濃く観察が出来ない。初めての雪稜なのでどのような光景が広がるのか楽しみにしていた
のだが残念だ。コルⅠは左に張り出した雪庇に注意しながら通過。第二ドームへの登りからロ
ープを出してもらうが肝心のビレイ方法を思い出せず少し時間がかかる。この後ピークまでは
支点の選択やロープさばきに手間取り時間がかかってしまった。自分のような初心者とロープ
で結ばれた曽山さんが歩き難いのではないか?登りのペースが落ちているのではないか??
等々山登りとはあまり関係のないことを考えるうちにピークの直下まで来てしまった。

気が付くと流れる雲の間に青空が見えている。ようやく余裕が出来てガスの間に時折姿を見せ
る奥穂や槍を探しながら歩くうちにピークに到着。14時30分。冷たい風が吹いているが雲の
間には青空がのぞく。黒々とした奥穂が随分高く見えてややフクザツな気分になるが、登って
きた西尾根に目を移して満足に浸る。今日はほとんど休憩を取っていなかったので行動食を
口に詰めこみ、写真をとってから下山。先を行く曽山さんの思いは既に温泉へと飛んでいるの
か安定した足取りでスタスタ歩いてゆく。それにひきかえアイゼンをつけて岩稜を歩いた経験
がない自分は我ながら危なっかしい。京都のパーティーと前後しながら再びガスに包まれた稜
線で幾つかの小ピークを越えるが、いちいち足元に気を使うので結構疲れる。だが、標高を下
げるに従い風も弱まり岩も消える、独標を越えて幅の広い尾根に出ると視界も開けた。右手に
見えるロープウェイの駅を意識しながら西穂山荘目指して駆け下りる。山荘着15時50分。最
終ロープウェイの時刻を確認すると16時30分とのこと。雪を頬張り、ロープウェイの駅までも
う一走りする。ロープウェイ駅着16時25分。観光客に混じって新穂高温泉に下る。

京都のパーティーとは駐車場で再び一緒になった。同時に入山し、二日間を前後して歩いただ
けに打ち解けた気分。今日中に帰宅するというお二人とお別れして、我々は会長と温泉旅館で
一泊。新穂高温泉は匂いも少なく透明なお湯の温泉。フロで温まって酒を飲んだら疲れが出て
8時過ぎに就寝、そのまま朝まで熟睡。翌19日午後帰京。

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1-5
5月3日~4日 春合宿 (白馬主稜~白馬三山縦走~双子尾根)
メンバー:L大林、SL広島、逢沢、内田、斎藤、江原(記録)

 本日は5月15日。雪焼けの名残で黒い顔もようやく周囲のヒトに受け入れられてきた。ところ
で私の頼りない頭の中では顔の皮がむけるように春合宿の記憶も1片ずつはがれ落ちてしま
ったらしい。今や明瞭な印象として残っているのは『主稜の登りがきつかったこと』と『白馬鑓の
ピストンでアイゼンが小気味良く効いて気持ち良かったこと』くらいだ。記録をつけようと自分の
記憶を探ってつい苦笑してしまう。

5月3日 曇のち雨

 日付の変わるころ新宿を出発した急行アルプスは定刻に白馬に到着。どんよりとした曇り空
からは細かい雨が落ちている。覚悟はしていたが電車の中ではあまり眠れなかった。睡眠不
足で標高差1,400㍍を登るのはコタエルだろうとやや熱意に欠けたままバスで猿倉まで入る。
バスが進むにつれ残雪が豊富になるが、後で聞いたところでは今年は例年よりも雪が多かっ
たという。道路沿いの排水溝には雪解け水がすごい勢いで流れていた。猿倉でバスを下りて
白馬尻までは快適な林道を1時間。天気はやや回復して時折青空がのぞく。長々と伸びる尾
根や深い沢を眺め、長野の山の大きさに感じ入っているうちに取付きに到着した。8時20分。

この辺に山小屋があったような気がするのだが見つからなかった。雪の下なのだろうか?大
雪渓が夏まで残るくらいだから途方もない積雪量なのだろう。主稜の末端から8峰に向けて登
る先行のパーティがやけに高く小さく見えて少し怯む。とにかく8峰までは・・・という気持ちで速
いペースについて登るが有名ルートだけあってしっかりした(し過ぎた)トレースがついている。
天気は下り坂ですぐにガスに包まれてしまいトレースだけを目で追いつつ登る。ひたすら階段
を登り続ける感覚であまり気分の良いものではない。途中二本の休憩を挟んで11時頃8峰に
到着。ここからは雪稜となるが、ピーク手前の2峰まではしっかりとしたトレースが延々と続いて
いて不安定さはなかった。ガスの中、7峰、6峰と順番に小ピークを越えて行くが、相変わらず
展望が利かず「実はぜんぜん違う尾根を登ってたりしてな!」なんて言葉が飛び出す。右手の
白馬沢からは「ズルズルーゴロゴロー」という雪が滑る何とも締りのない音(表層雪崩?)が断
続的に聞こえているが視界が悪いので見ることは出来ない。延々と続く単調な登り。湿度が高
いのでもう汗まみれだ。そんな状況の中ところどころにあるテントサイト(跡)の何と魅惑的なこ
とか!「天気も悪いし、尾根上で一泊の計画だから・・・そろそろ・・・」などと考えるのだがペー
スは一向に落ちない。

14時ピーク直下60㍍の雪壁。ぱらぱらと降り出した雨の中、大事を取って50㍍のザイルを2
本連結してフィックスして貰う。工作をしながら上部に抜けた広島さんから「東西コール」。ナン
ダナンダと登って行くと稜線に飛び出したところがピンポイントに白馬岳のピークだった。15時
20分。ガイドブックでは読んではいたが「ポンッ」とピークに飛び出した感じが何とも言えず楽し
い気分。広島さんのコールも納得。富山側から冷たい風が吹きつけていて雨に濡れた部分が
見る見る凍る。が、ピークに抜けテントサイトが近いことを思えば気が楽だ。少し下って村営小
屋の裏にテントを張る。16時10分。

5月4日 晴

 晴天!6時20分出発。まだ時間が早いので締まった雪にアイゼンが小気味良く効く。剣、薬
師、鹿島槍、穂高・・・有名どころの眺望とシーズン最後の(と思われる)雪を満喫しながら稜線
歩きを楽しむ。7時10分杓子岳到着。下降ルートの双子尾根を見下ろすとまだトレースがな
い。上部は急で自分には下り応えがありそうだ。が、数パーティーが登攀中だから杓子岳~白
馬鑓間のピストンをしているうちにトレースが付くだろう。トレースのない尾根は魅力的だったが
計画を尊重して白馬鑓に向かう。ザックを下ろすと必要以上にペースがあがって駆けるように
コルへと下り、競うようにピークへ登り返す。

8時白馬鑓到着。鑓ヶ岳には東尾根(?)というバリエーションがあるようで広島さんと逢沢さん
は尾根の上部に座り込みしきりに話をしている。初めて耳にするルート。知識や技術があれば
さまざまな角度から山を楽しめるようになるのだ。そうと思うと仕事は駄目だけど山は頑張ろう
かぁなどという不穏な気持ちになった。杓子に戻ると予想通り双子尾根にトレースが付いてい
た。残念!慎重に直下の急斜面を下る。日が照りつけ、雪はヒドイ状態で登りのトレースを崩
さない様に気を使いつつ下る。昨日登った主稜は見える範囲だけでも20人以上が登攀中だ。
双子尾根でもひっきりなしに登りのパーティとすれ違う。好天の中、連休2日目にして下山中の
我々はちょっと変わった存在だったかも知れない。それにしても熱い。途中でもぐり込んだハイ
マツ帯ではムッとする草いきれに春を通り越して夏山の感覚を味わった。10時35分樺平。地
名の由来なのだろう大きくて立派な岳樺の日陰で今年はどんな山に行こうかと話をする。谷
川、沢登り、フリークライミング、夏合宿・・・。「きっとあっと言う間に季節が過ぎて、来年の今ご
ろも同じ話をしているんだよ。」と誰かが言った。12時15分猿倉到着。タクシーで白馬駅まで
行き、風呂に入って昼食を食べて帰京。

 充実していたが期間的に短かった合宿に消化不良のメンバーは翌日日和田山で岩トレ。合
宿の食料(内田さんのカレーピラフ)も消化した。

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1-6

7月20日~21日 沢登り (魚野川万太郎谷本谷:敗退 → 大源太川北沢本谷)
メンバー:L逢沢、斎藤、江原(記録)

7月20日(金) 海の日 天気:曇時々晴、夕立あり
 今年は暑い。まだ7月だというのに東京は連日35℃を超える猛暑。暑さを忘れる爽快な時
間を期待して万太郎谷本谷へ向かった(出発は19日夜)。ガイドブックは「名渓として全ての条
件を満たしている」として誉めそやしており期待が高まる。今回は沢の中で一泊し、翌日谷川
岳、一ノ倉岳、茂倉岳を経て茂倉新道を下山する予定。沢の中で寝たことがないので焚き火
や食事も楽しみにしていた。6:00入渓点。6:25遡行開始。水は冷たく日ごろの汚れが清め
られるような気分だ。下部は深い森に包まれ穏やかな遡行。木漏れ日がさす明るいナメ滝が
続き軽快な気分(浮かれすぎて転倒)で歩く。森に顔を出す関越トンネルの換気塔下で休憩。
さらに遡行を続けると釜とゴルジュが交互に現れるようになる。ゴルジュは高巻きと泳ぎを交え
て進んだが、泳ぎではヘルメットがザックに引っかかって顔を上げることが出来ず、焦って水を
飲んでしまった。遡行を開始して約2時間、F2手前でスノーブリッジに遭遇。8:40。青い空を
バックに白いスノーブリッジは綺麗だが、かなり溶けていて脆そうだった。地図によるとこの先
はゴルジュ帯が続いており、不安定な雪渓が連続していることが予想されたため「時期が早か
った。」との判断で敗退、下降することとした。下降開始9:30。

今にも崩壊しそうなスノーブリッジ

 登攀的な要素での核心部は全てF2より上流のため沢登りとしては敗退なのだが、下降は楽
しかった。十分に深さのある釜に出くわすとポンポンと飛び込み水遊び。逢沢さんは魚が根付
いていそうな石の下は必ずチェックする。ウン年ぶりの水遊びは子供に戻った気分。しかし、
登りの時にうすうす感じていた自分の泳ぎ下手が確実なものになってしまった。流れに飛び込
んでも何故か全く前に進まない・・・。プールでは泳げるのに・・・。「沢の泳ぎ方」というものがあ
るのだろうか?

 遊びながらゆっくり下り12:55入渓点に戻る。途中釣りのヒト2グループ、沢登り2パーティー
とすれ違った。沢登りのパーティーは先に進んだのだろうか?的確に進退を判断するのは難し
いことだと思う。濡れ物を乾かすために河原で焚き火をする。明日の予定を決めながらも冷え
た体に焚き火の暖かさが心地よくそのままウトウト・・・目がさめた人が交代で薪をくべる。今日
一日は森での時間を満喫した気分。こういうのを森林浴というのだろう。16:00、そろそろ夕
立のありそうな空模様に入渓点を後にする。湯沢町「岩の湯」で激しい夕立を見ながら入浴。
先に進んだパーティーのことを思う。ビールを買って大源太山登山口へ。登山口到着19:00。

7月21日(土) 天気:曇時々晴 
 4:30起床。気分も新たに「変化に富んだ好渓で、初心者のトレーニングには最適。沢登り
の醍醐味を十分に味わえる」という大源太川北沢本谷へ向かう。沢は大源太山に突き上げて
おりこちらは「越後のマッターホルン」と言われているとのこと。学生時代に登った荒沢岳は「越
後の穂高」だったっけ・・・。5:45出発。

 大源太山の登山道を進み2回目の渡渉点が入渓点、6:10到着。遡行開始6:30。小さいな
がらも始めから滝が連続していて変化があり「楽しい!」という感じ。核心のF4を目指して快調
なペースで進む。七ツ小屋裏沢分岐(合流?)7:05。F2、7:45。F3(10㍍ナメ滝)、8:10。
やがて前、右、左の3方向から滝が落ちている三俣につきあたると向かって左側の沢がF4、2
0㍍。8:20。ちなみに右側の滝の方が水量も多く立派。F4ではザイルを出し、右のリッジ状
から高巻いて草付きに入る。中間支点がなくハーケン一枚使用。再び沢に戻ると様子が変わ
り随分小さな流れになっていた。流れが消える頃、草付きのスラブ状に出る。狭まっていた視
界が一度に開け大源太山のピークに人影も見えた。あたりにはニッコウキスゲが咲き乱れて
おり、ヤブこぎはなし。ニッコウキスゲの鮮やかなオレンジと青々と茂った緑、スラブの白。色
の対比が印象的だった。そのまま快適にスラブをつめて、ピーク直下の岸壁の下を右へと進
むと縦走路に出た。ピークまでは5分ほど。終了11:20。

北沢本谷の快適なツメ

 マッタ―ホルンは大袈裟な気がするが稜線はやせていて足元から大きく開けた展望は良か
った。ちょっと驚くほどの数のトンボが乱舞するピークでは涼しい風と通り雨があり何処と無く秋
めいた気分にさせられた。狭いピークは思いのほか(越後のマッタ―ホルンには失礼だが…)
登山者で賑わっており、学生のパーティーが到着したのを機に下山に移った。登山口到着、1
3:40。下部に連続する小さな滝と、ツメのスラブが楽しく印象に残った。ガイドブック通り良い
沢だったと思う。

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1-7
2001.9.15 阿武隈川 南沢右俣               東出・江原・斉藤(記録)

明るく開けた沢を遡行し薮こぎなしで池糖が点在する草原に飛び出す・・・去年から計画しては
流れていた東北の沢。当初の計画では桧枝岐川・下ノ沢の予定だったが出発当日になってリ
ーダーの東出さんが仕事上のトラブルで土曜日中に戻ってこなければならない事態となったた
め急遽この南沢に変更になった。

9/14 21:00 南浦和駅に集合し東北道・白河ICから甲子温泉を目指す。宇都宮辺りから雨が
降り始め嫌な予感が・・・ 9/15 0:30 甲子温泉唯一の宿・大黒屋着。駐車場にテントを張り
少し宴会をして就寝。シュラフカバーだけではちょっと寒い季節になってきた。 6:00 起床 雲
は多いがまずまずの天気。 7:00 出発。トンネル工事中のガードレールを越えて阿武隈川本
流に降りる踏み跡へ。河原に出た所で渓流タビに履き替え遡行開始。本流は当たり前かもし
れないが水が多く流れも早い。他の二人は飛び石で簡単に渡ったところを飛ぶのが苦手な私
は少し下流から徒渉することに・・・水流が弱い所を選んでいるつもりなのだがそれでも流され
そうであと1歩が踏み出せない。結局対岸からお助けシュリンゲを出してもらいようやく通過。

砂防ダムを越えるとすぐ右に「貧弱な」沢がある。関東周辺の沢に「まったく貧弱な出合」と書
いてあるのでこれだろうということで入っていったものの狭くて暗いし水流もチョロチョロでこれ
じゃあ丹沢と変わらない・・・と思いながら歩いていた。しばらくして東出さんがこれは違うと判断
し出合まで戻ると2-3分上流に先程の沢とは比べ物にならないくらい立派な滝が現れた。これ
を見逃すのはよほどの人だとガイドブックに文句を言いながらも内心は嬉しかった。南沢の滝
は全て直登出来て楽しい。

東出さんは半年振りの山行でもその歩みは相変わらず速い。前半2-3箇所は念のため(?)
ザイルを出してもらったが後は行けども姿は見えずの状態。しかし東出さんが待っていない=
私でもノーザイルで登れる、問題ないという暗黙の了解(思い込み)みたいなものがあるので自
信を持って登る。二俣手前で少し休憩(9:20)。赤茶けたゴルジュやトイ状のナメは特に問題な
くいつのまにか通過していた。あっと言う間に奥の二俣着(10:30)。沢つめたい?と訊かれた
ので「寒くないです」と答えると不思議そうな顔をしていた。どうやら「冷たい」ではなく「詰めた
い」と訊いていたらしい。結局左の沢を詰め薮こぎに突入。踏み跡なんか全然ない強烈な薮こ
ぎは30分で終わり突然縦走路に飛び出した。(11:30)甲子山山頂(11:45)を経由して下山、
12:45 甲子温泉・大黒屋着。

ここのお風呂は有名らしく、よく雑誌でも紹介されているそうだ。混浴の大岩風呂(?)と小さめ
の女湯がある。(¥630)シャンプーはもちろん石鹸も置いていないしシャワー・水道もない、い
わゆる浴槽と脱衣場だけの温泉。お湯はついつい長風呂したくなるちょっと温め。

今回は残念ながら薮こぎなしで草原に飛び出す沢ではなかったけれどアプローチも便利でこれ
といった悪場もなく、さらに麓には温泉もあり東出さん曰く『おいらく山岳会向きの沢』初心者で
も楽しめるお手ごろな沢だと思いました。お楽しみはまた来年に持ち越しかぁ・・・。

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那須 苦土川井戸沢 2001
那須 苦土川井戸沢 2001
谷川岳 一ノ倉沢・3ルンゼ 2001
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富士山屏風尾根 2001 / 谷川岳 雪上訓練
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八ヶ岳 赤岳東稜/石尊稜 2001
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